研究課題
若手研究(B)
平成23年度は、フッ化ピリミジン系の代謝拮抗剤である5-FUおよび白金製剤のシスプラチン(CDDP)は、頭頸部がんをはじめ、様々な固形がんの治療に使用されてきたが、薬剤耐性により十分な治療効果が得られないことがある。近年、タンパク質発現を制御する因子としてmicroRNA (miRNA)が注目されている。本研究は口腔がんにおけるmicroRNAの5-FUおよびCDDP抵抗性への関与を明らかにすることを目的とした。各種DNA修復酵素欠損Chinese hamster lung fibroblast由来の細胞を用いて、DNA修復経路における5-FUの殺細胞効果を高める標的候補を検討した。Chinese hamster lung fibroblast由来のBRCA2 deficient細胞およびku80 deficient細胞とそれぞれの親株細胞を用いて、生存率の測定:各種濃度の5-FUを培地中に添加して24時間、37℃処理し、コロニー形成法にて生存率を算出した。また、DNA二本鎖切断量の測定:フローサイトメトリーによって、5-FUによる24時間添加処理後のγH2AX量を経時的に測定し、DNA二本鎖切断量を比較検討した。結果として、BRCA2 deficient細胞は、5-FUにより約2.5倍の高い殺細胞効果を認めた。また、BRCA2 deficient細胞では、その親株細胞に比べて、5-FU処理によって生じるDNA二本鎖切断の修復遅延も確認された。平成24年度は、Chinese Hamster Lung Fibroblast (BRCA2 野生型)由来の細胞と舌癌細胞であるSAS細胞を用いて、BRCA2と関わりのあるChk1 阻害薬であるUCNを用いて5-FUの増感効果を確認した。両細胞において5-FUの単独使用に比べて、UCNを併用することにより有意に細胞の生存率を低下認めた。つまり、相同組み換え修復を阻害することにより5-FUの感受性を上げることができた。
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Biochemical and Biophysical reserch Communications
巻: 423 ページ: 654-660