江戸時代を代表する漢詩人である六如(1724-1801)と中島棕隠(1779-1855)の作品をもとに、彼らが漢詩文を作ること、あるいは文人・詩人としての自己をどのように認識していたのかを考察した。六如や棕隠には詩や文章を作ること、また詩人としての自己に言及する表現が多く見られることを確認し、そこに見られる詩や文章あるいは詩人に対する考え方には、中国とりわけ宋代詩人の影響が認められることを明らかにした。さらにこうした特徴は、同時期の江戸漢詩人と比して顕著であることについておおよその見通しを持つことができた。
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