研究の成果として、人々が精神疾患に罹患したと思われるときに、彼らのその後の対応に影響を与える思考のパターンが明らかにされた。またその結果を踏まえた考察から、それらのパターンの背景にある社会的環境の要因がいくつか示唆された。つまり、人々が精神疾患への罹患の早い段階での適切な治療に到達するためには、精神疾患や精神障害を取り巻く社会的環境の根本的な変革が不可欠であることが考えられ、それらの状況を踏まえることにより、精神疾患への罹患時の患者への働きかけに工夫をすることで、より適切な医療に結び付きやすい方向へと誘導することができることも推察された。これらの結果から、精神疾患の初期の症状が出た際の医療および福祉専門職の意図的な働きかけが、精神障害に伴う症状によって引き起こされる触法行為の予防に貢献できる可能性があると考えられる。
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