研究課題
研究活動スタート支援
本研究では、硬さを自在に制御可能な細胞外環境モデルを構築し、そこで誘導される様々な細胞の構造や機能を解明することを目指している。本年度はまず、硬さを制御したゲル上での細胞接着を定量評価するための基本実験系として、細胞-ゲル間の距離をナノスケールで定量測定可能な新規光学顕微システムを構築した。本システムでは、屈折率差が小さいゲル/溶液界面からの微弱な反射光を検出するために、従来の反射型光干渉法における入射系や検出系に改良を施している。実際、本システムを用いて、硬さを動的に制御可能なpH応答性ゲル基板上の類表皮がん細胞(A431)を観察したところ、細胞接着面に線状のパターンが形成されていることを発見した。さらに同一領域を、全反射蛍光顕微鏡法(TIRF)により観察したところ,細胞がvincullinを発現していることが明らかとなり、光干渉法で得られる高さ情報と生化学的な情報が一致することを確認した。以上の結果から、本研究で開発した改良型反射型光干渉法が、ゲル上の細胞接着ダイナミクスをリアルタイム・ラベルフリーで定量評価するための強力なツールであること実証した。また本年度には、新たな試みとして、ハイデルベルグ大学及びヘルムホルツ研究センター(ドイツ)の合成化学及び生物学のエキスパートとの共同研究にも着手した。ここでは、新規な生体適合性・疎水ポリマー基板を用いて、軟骨などの硬組織のメカニクスを模倣した環境をin vitroで創製することを目指している。既にこれまでに、本基板上での骨芽細胞の接着ダイナミクスの定量測定に成功しつつあり、早期の論文化を目指す予定である。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件) 備考 (1件)
Chemical Physics Letters
巻: Vol.510, Issues 1-3 号: 1-3 ページ: 139-142
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日本結晶成長学会誌
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http://park.saitama-u.ac.jp/~nakabayashi-lab/index.php?%A5%E1%A5%F3%A5%D0%A1%BC%BE%D2%B2%F0%2F%B5%C8%C0%EE%A1%A1%CD%CE%BB%CB