研究概要 |
本研究では,幹細胞の培養の足場に適したバイオハイブリッド材料の創製を目的に,異方性構造を有するナノファイバー基材上での間葉系幹細胞の分化制御をおこなった。生体組織の微小環境はナノメートルサイズの繊維構造が配向した構造から成る細胞外マトリクスで構成されていることから,配向性を有したナノファイバーに着目した。細胞としては,造血支持能を有するヒト骨髄由来間葉系幹細胞(MSC)を用いた。まず,エレクトロスピニング法を用いて,配向性の異なるナノファイバー基材を作製し,この上での細胞分化挙動への影響を検討した。その結果,配向性の違いによって分化が異なることを見出した。さらに高密度培養を可能とする足場材料への展開を目的に,配向性ナノファイバー基材の積層により3次元培養をおこなった。その結果,厚みがありかつ異方性を有するバイオハイブリッド材料の構築に成功した。得られたバイオハイブリッド材料は,幹細胞の高密度培養足場への応用が期待された。
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