研究概要 |
本研究は,浅い湖沼におけるリンの動態を解明するため,大きく変動すると推察される懸濁粒子や底泥に含まれるリンの形態を観測したものである.リンの形態を分析する手法として,核磁気共鳴装置(31P-NMR)を用いる方法を確立した.この新たに開発された手法を用いることで,富栄養化した湖沼である霞ヶ浦の底泥,懸濁粒子中に存在する様々なリンの形態を長期間にわたってモニタリングすることが可能になった.分析を行った結果,懸濁粒子中に含まれているリンの形態と,底泥中に含まれているリンの形態とが大きく異なることが観測された.底泥にはオルトリン酸の割合が約80%程度あったが,懸濁粒子には生物によって合成されたリンが多いことが明らかになった.また,霞ヶ浦においては風による底泥の巻き上がりによって懸濁粒子濃度に影響を与えることが示された
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