研究概要 |
我々が同定した肺組織幹細胞の増殖を抗癌作用物質Exiguolideが強力に抑制する.Exiguolideは特に幹細胞に対する効果が高いと考え,その作用機序を明らかにすることで,肺癌幹細胞特異的増殖メカニズムの解明を試みた.網羅的遺伝子発現解析の結果から,ExiguolideはProtein kinase C(PKC)/Erk/Aktの3つの経路から細胞増殖を抑制している可能性が示されたため,これらの経路に対するExiguolideの効果を肺癌細胞株を利用して検証した.ExiguolideはPKCαを活性化し,サイクリン依存性キナーゼ阻害蛋白であるp21の発現を介して細胞周期をG1で停止させることがわかった.ExiguolideがMekによるErkリン酸化を阻害すること,さらにAktリン酸化の調節を通じてGSK3βを抑制し,アポトーシスを誘導していることがわかった.
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