研究課題
研究活動スタート支援
口腔癌の根治をめざす上で癌の転移、再発は最大の障害であり、患者の予後を左右する重大なリスクファクターである。癌の増殖領域は低酸素、低栄養、低血流環境下にあり、このような癌環境は癌の治療にとって大きなバリアーとなっている。特に、低酸素環境下での癌細胞の行動を理解することは、より良い癌治療の開発に必須であり、口腔癌ではこれまで精力的に研究されなかった分野である。本研究は、血管新生抑制効果が期待される有機セレニウム化合物を使い、従来の化学療法では対応できなかった口腔癌の血管新生・転移の抑制を目指すものである。癌の浸潤・転移の予防を期待して化学療法を併用する以上、抗癌剤が低酸素領域で口腔癌の血管新生や転移に及ぼす影響の解明は必須であり、口腔癌治療に併用する化学療法の意義を再検討する必要があると考える。そこで、まず最初に有機セレニウム化合物のアポトーシス誘導能を測定するために、口腔扁平上皮癌細胞株HSC-3においてSeleno-L-methionineで5日間処理後、TUNEL染色しFACSCaliburでアポトーシス細胞を測定した結果、有意なアポトーシス誘導が確認された。アポトーシス関連タンパクであるカスパーゼ群の変動についてFACSCalibur、ウェスタンブロットにて検討したところ、カスパーゼ-3、8、9の活性化が認められた。さらに汎カスパーゼ阻害剤を併用することにより、アポトーシス細胞が減少した。また、eIF-αのリン酸化、カスパーゼ-12活性化が認められ、Seleno-L-rnethionineのアポトーシス誘導能は小胞体ストレスが関与することが示唆された。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Cancer Chemother Pharmacol
巻: 67(5) 号: 5 ページ: 1129-36
10.1007/s00280-010-1417-7