研究概要 |
チタンインプラント埋入後の創傷治癒における酸化ストレスは,骨結合を妨げる重要な因子であり,これを抑制することがひつようである.チタンは表面処理により骨との親和性を向上させることができる一方で,酸化ストレスの抑制については検討されていない.本研究では放電陽極酸化によって表面処理したチタンの骨芽細胞に対する酸化ストレス抑制効果を検討した.放電陽極酸化チタンでは骨芽細胞の石灰化関連遺伝子の上昇が見られた.また,表面に析出した骨様石灰化物の物理的性質が向上した.放電陽極酸化チタン表面から発生する活性酸素が分解され,接着細胞に対して酸素を持続的に徐放することにより,酸化ストレスを抑制することが可能になった.放電陽極酸化処理チタンは,骨結合能と創傷治癒の促進により,チタンインプラントの表面処理として有効であると考えられる.
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