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「復帰邦人」の汚された名誉、拭えぬ汚名

研究課題

研究課題/領域番号 23905008
研究種目

奨励研究

配分区分補助金
研究分野 地理学・文化人類学・地域研究
研究機関早稲田大学

研究代表者

山本 まゆみ  早稲田大学, 文学学術院, 非常勤講師

研究期間 (年度) 2011
研究課題ステータス 完了 (2011年度)
配分額 *注記
400千円 (直接経費: 400千円)
2011年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
キーワード記憶 / ポスト・コロニアルスタディーズ / ジェンダースタディーズ
研究概要

当研究は、1920年代長崎から和蘭領東インドに渡り、バタビアで旅館を経営した一般邦人男性が、1941年11月下旬最後の引き揚げ船で日本に戻りながらも、半年後に日本軍部の徴用でインドネシアに復帰し、戦後間もなくインドネシアでその生涯を閉じたその人生に焦点をあてた。男性の生涯を辿りつつ、20世紀前半のインドネシアにおける在留邦人社会および、祖国の政治に翻弄された彼らの異国での生活の軌跡を、明らかにすることを目的としている。軍部は、彼らの言語能力や文化知識を活用したい一方、人脈のある住み慣れた地に配属することで、諜報活動や軍部に抵抗される危険性を懸念するなど、協力を期待しながらも信頼しなかった。軍部からも疑われていた「復帰邦人」は、戦後オランダ及びインドネシアにおいても、戦争に関する記憶の中で、日本軍部の「スパイ」という、謂われざる汚名を受けることになったが、ディアスポーラのサバルタンの歴史を再構築し、誤解された言説を再編成することを目指した。
研究方法としては、文献資料調査及び面接聞き取り調査で遂行した。国立国会図書館、早稲田大学図書館、オランダ公文書館(戦争資料研究所、国立公文書館、外務省)を中心に調査を行った。また、日本占領下インドネシアにおいて日本人軍属軍人と関係を持っていたオランダ人女性の研究で著名なオランダ戦争資料研究所のEveline Buchheim博士からもご助言をいただいた。
当研究調査を通じ、現在にいたる戦争中の一般邦人に対する記憶は、日本およびオランダを問わず、両国間の政治あるいはそれぞれの国内事情により、社会に内在する偏見を顕著にした記憶となり定着する傾向があるのではないかという結論を導き出すことができた。現在なお記憶として再構築されている一般邦人の汚名は、戦後間もない時代また1990年代の戦争処理問題の言説と共に増幅されていったと考えることができた。

報告書

(1件)
  • 2011 実績報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] Whispers and Gazes: A Postscript to the Semarang Comfort Women Incident2012

    • 著者名/発表者名
      Mayumi Yamaraoto
    • 雑誌名

      Journal of Asian-Pacific Studies

      巻: 18 ページ: 1-9

    • 関連する報告書
      2011 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Misplacing the Sakura Club in Postwar Colonial Imagination2011

    • 著者名/発表者名
      Mayumi Yamamoto
    • 雑誌名

      Journal of Asian-Pacific Studies

      巻: 16 ページ: 77-94

    • 関連する報告書
      2011 実績報告書
    • 査読あり

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公開日: 2011-04-06   更新日: 2016-04-21  

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