1.研究の目的 小学校現場が抱える「子どもが落ち着かない、キレる、集中できない」という今日的問題に対して、始業前のSけんを中心とした「運動遊び」が授業における子どもの「集中」を高めるのではないかという仮説をGO/NO-GO課題を使って検証する。運動遊びとして注目したSけんとは、子どもたちが学級という「集団」で、「肌と肌」を触れあいながら「体全体」を使い、「運動量」があり、どの子も夢中になって取り組める遊びである。 この問題については、日本体育大学名誉教授正木健雄らによって、GO/NO-GO課題を使い、外遊び・群れ遊びの減少による身体運動量不足・コミュニケーション不足が高次機能を担う前頭前野の発達の遅れに影響していると指摘されている。本研究は、この調査結果をふまえ、より具体的に「運動遊び」の効果を検証するものである。 2.研究方法 A小学校の6年生(35名)を対象に、6種類の集団運動遊び(しっぽとり、ドッジボール、落としっこ、長なわ、Sけん、かぶ)を始業前に30分間行った日となしの日において、その後教室にてGO/NO-GO課題の調査を行い、正解総数等を比較した。 3.研究成果 集団運動遊びを行った日は、運動を行わなかった日に比べ正解総数が有意に多かった。6種類の集団運動遊びのあいだには正解総数の有意差は認められなかった。しかし、しっぽ取り→ドッジボール→落としっこ→長なわ→かぶ→Sけんの順で正解総数は高くなっている。この結果から、身体全体を使って必死になり、対戦型で、肌と肌を触れあいスキンシップが多くとれる集団運動遊び(かぶやSけんなど)が、興奮過程を経て抑制過程が働き、第1校時から学習に落ち着いて集中できることを示唆するものと考える。以上の結果から、現在の教育現場がかかえる「落ち着かない、キレる、集中できない」という子どもに対応するためには、始業前の子どもの過ごし方を考えていく必要があることがわかった。
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