研究課題
奨励研究
中学校「技術・家庭」の授業を中心に、「情報を科学的に理解」するための教材の開発を行った。コンピュータの学習は単に道具の使い方だけを教えるのではなく、コンピュータの原理を理解し、仕組みや処理を科学的に考えることが大切である。そこで、ニュージーランド・カンタベリー大学のTim Bell博士たちが提案する"Computer Science Unplugged"を使った中学生向けの情報科学の授業カリキュラムを作り、実践した。また、国際情報科学コンテストbebras(ビーバーコンテスト、情報オリンピック日本委員会主催)で使われている問題の教材化やコンテストの効果についての調査及び分析を行った。更に、新学習指導要領で必修化された「プログラムによる計測・制御」において、中学生にとって理解が困難と思われる制御プログラミングを簡単に理解できる方法を検討した。これらの3つの研究を通して、中学生に情報を科学的に理解する力を身につけさせることを目的に研究を進めた。(1)Computer Science Unplugged全12章の中から5つの章を選び、中学生向けの情報科学の授業カリキュラムを作成した。実践の結果、情報科学に関する興味・関心が高まり、情報科学の基礎的な能力が身につくことが確認された。(2)国際情報科学コンテストbebras2011年度のビーバーコンテストに全校生徒で参加し、問題や生徒アンケートを分析した。その結果、生徒はbebrasで扱われている情報科学の問題に興味・関心を持ち、情報科学に対する興味・関心が高まることが確認された。また、2010年度の問題を中心に分析を行った結果、どのような問題が難しく正答率が低くなるかを検討した結果、問題を読み取る能力と解を思考する能力に分けて分析することにより、中学生の情報科学能力を測るための基準を作成できる可能性があることが分かった。(3)状態遷移を利用した制御プログラミング車型ロボットを使った制御学習において、状態遷移の考え方を取り入れたプログラミング方法を検討した。その結果、複雑なプログラミングが簡単にできるようになり、生徒の意図する複雑なプログラムが可能になることが分かった。また、この学習を通して、ブラックボックス化されている制御機器の仕組みを理解することができ、情報を科学的に理解することにつながることも分かった。以上の研究により、生徒は情報科学に興味・関心を持ち、科学的な興味や好奇心も高めることができる教材を開発することができた。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)
日本産業技術教育学会学会誌
巻: Vol.53,No.2 ページ: 115-123
巻: Vol.53,No.3 ページ: 179-187
10031117417