本研究は、中学校数学で、評価規準から指導と評価の計画を作成する過程を省察し_<(1)>、授業のねらいと学習活動、指導の整合が図られているか、評価規準ン評価問題及び評価方法が適切に対応しているかについて考察し_<(2)>、指導と評価の一体化を図るための授業改善のあり方を提起する_<(3)>ことが目的である。 下線(1)に関わっては、国立教育政策研究所「評価規準の作成のための参考資料」などから知見を得て中学2年「連立方程式」の単元で、評価規準から指導と評価の計画を作成することを試みた。そこでは、 (1)指導内容の系統性に配慮して、小単元や各授業時間の指導のねらいを設定し、生徒の学習活動を構想する。 (2)小単元や各授業時間の指導のねらいや生徒の学習活動に対応させて、観点別の評価規準と評価方法を構想する。 という手順で指導と評価の計画を作成する、という仮説を定立し、実証授業を行った。 下線(2)に関わっては、中学2年「一次関数」の単元で、全国学力・学習状況調査の結果や実践事例の分析を行い、授業のわらいと学習活動、指導の不整合が生じる要因や、評価規準と評価問題との対応が不適切になる要因などを考察した。そこでは、 ○【数学的な技能】の観点別評価では「おおむね満足できる」状況(B)であっても、そうした生徒が【数量や図形についての知識・理解】の観点別評価で(B)になるとは限らない、という事例がよく見受けられる。 ○得てして【数学的な技能】の観点別評価は評価がしやすく、成果も見えやすいため、その評価の結果だけで生徒の学習状況を把握するということに陥りやすい。 という予見が得られた。 下線(3)に関わっては、中学2年「一次関数」の単元で、評価を学習指導の改善に生かした授業を構想実施した。そこでは、 ○指導と評価の計画をもとに、授業の目標、学習指導、評価の3つが一体化されているかどうかを省みる。 ○生徒が、獲得した知識を活用することを理解できるような学習指導に改善する。 という知見が得られた。
|