1.研究目的 分子模型教材の歴史は古く、理科化学教育に欠かせないものであるが、未だに高額なため教育現場で十分活用されていない。そこで、福井大学と共同で開発したディンプル付発泡スチロール球、ソケットおよびプラスチックパイプを用いる安価なディンプル・ソケット方式分子模型教材を実用化した。そして、この新しい分子モデリング手法を取り入れた中学理科教育の学習指導プログラム開発を目指し、県内外を問わず広く教育現場への普及を通して、理科好きな、そして次世代の科学力を備えた生徒の育成を図ることを目的とする。 2.研究方法 (1)新しい分子モデリング手法のマニュアル化と指導要綱プログラムのテキスト化 新開発ディンプル・ソケット方式分子模型部材の制作およびモデリングマニュアルを作成する。また、中学校理科指導要領に準拠し、分子モデリングを活用するためのノウハウを取入れた単元単位の授業プログラムを協力者の意見交換を交えて、具体的なマニュアルとしてテキスト化する。 (2)教員研修の実施 制作した実践教育用のテキストを用いて、県内外の教員を対象とした分子モデリング活用研修を実施し、広く教材の制作方法、活用ノウハウおよびテキストを普及する。 3.研究成果 「分子模型制作&活用マニュアル(+指導展開例付き)」をつくり、中学校教育研究会理科部会を中心に現場の教員に配布して研修会(計5回実施)を行ったり、福井県教育研究所(福井県の教員研修センター)、日本科学教育学会(H23年8月東京工業大学)、サイエンスアゴラ(H23年11月日本科学未来館)で紹介し、粒子概念の育成に効果的という分子モデリングの有用性を示したり、教育現場での活用を呼びかけたりすることができた。 また、従来の化学分野だけでなく、他の分野(エネルギーや環境分野、生物分野など)でも、分子模型が活用できることを提案することができた。
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