これまで、中学校1年理科の「植物の分類」の学習を支援するために、部分構造交換法の手法を用いたゲーム型学習ソフトを開発し、その効果を検証してきた。しかし、この教材は、学習者が自ら分類の観点を決めてカードを収集していたため、「やり方が難しい」という指摘があった。そこで、このゲーム型学習ソフトによる学習効果をさらに向上させるため、コンピュータ側で、指定したカードを収集する方法に改善することとした。 一方、学習状況調査等から、様々な四角形の共通点を見いだすような多様な見方を苦手とする児童が多いことがわかっている。そこで、小学校4年算数科における図形の分類の学習を支援するゲーム型学習ソフトを開発し、上述の方法に改善して、その効果を検証することとした。 開発した教材を用いて、図形の分類を既習の小学校4年生(18名)を2群(実験群、統制群)に分けて、検証授業を実施した。実験群(9名)は、新たな方法に改善したゲーム型学習ソフトを利用した。一方、統制群(9名)は、従来型のゲーム型学習ソフトを利用した。 両群とも、授業開始前に、事前テストを行った。授業は、本時の説明後に、実験群、統制群ともにそれぞれの教材を用いて、繰り返し学習を行った。最後に、事後テストと意識調査を実施した。 両群の比較は、事前・事後テスト及び意識調査の結果から行った。その結果、本研究での検証においては、コンピュータ側で、指定したカードを収集する方法に改善したゲーム型学習ソフトの方が、事後テストにおいて、平均正答数が高くなることが確認できた。コンピュータ側から教材を制御する割合が増え、明確な課題解決意識をもって学習が進められるようになったためである考えられる。また、意識調査から、開発した図形の分類の学習を支援するゲーム型学習ソフトは、いずれも学習者の興味・関心・学習意欲を高める効果があることが確認できた。
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