・研究目的 本研究では100kW以下のマイクロ水力エネルギの有効利用に焦点をあて、それらの活用法について模索するものである。今回提案する簡易設置式マイクロ水車は、1・自主独立型である2・構造が簡単で、製作が容易、3・水生生物等への影響が少ない、4・発電設備の設置や移動、保守点検が容易で低コストであることなどの条件を満足させる必要がある。 具体的には形状を簡素化した集水ダクトを用い、ダクト形状にマッチした水車ランナを取り付けて一体化した構造にする。これにより水車ランナは内部流れとなり水車ランナ単体で使用するよりも大幅な性能改善が見込まれ、上記の条件にも合致するものと考える。 ・研究方法 構造が簡単で、製作やメンテナンスが容易であるという観点から、ランナブレードは一般的な円弧翼から直線翼に変えた。この直線翼を有するクロスフロー型水車ランナを2台制作(入口角、半径比、翼枚数各2種類)し、以前制作した末広型ダクトにランナを組み込み、ダクトの効果について調べた。実験は全12種類のパラメータについて、回転数、起動および回転時のトルクを測定した。これらの実験に際しては最大流速0.5m/sの回流水槽を用い、Re数やプロッケージの影響については十分留意して行った。 ・研究成果 実験の結果、翼枚数16枚のランナについては末広型ダクトの有効性が認められた。特に入口角45°、半径比0.8、のランナではランナ単体に比べ最大出力係数が30~40%程度増加した。しかし、翼枚数8枚のランナでは一部を除きダクトの効果はほとんど認められなかった。これらの検証結果から、翼枚数や半径比(翼長)等の条件によってダクトの効果にばらつきが見られた。全ての実験を通しても出力係数の最大値は0.10程度であり、今後、さらなる性能の改善を望むならば、ランナ形状およびダクトに流入する速度を増加させる構造にするなどの工夫が必要であると思われる。
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