研究概要 |
本研究では,高精度な手指用磁気式モーションキャプチャ装置を入力装置としたインターフェース技術を研究開発することで,モデリングソフトウェアに未習熟なユーザでも粘土細工をするような自然な動作で簡単に3D-CGモデルを制作できる直感性に優れたユーザインターフェース技術の開発を目指した. 平成22年度までの研究開発において開発した粘土細工式モデリングシステムは,実空間のフローラルフォームを変形すると小立方体の集合として表現したVR空間のCGモデルをリアルタイムに変形できるシステムだったが,開発に用いた3Dコンテンツ作成ツールの制約からVR空間でフローラルフォームを表す小立方体数を増やすことができなかった.そこで本年度は,より細かな変形を可能とするため,当該ツールを用いず,OpenGL等より基本的なライブリのみを用いて多数の小立方体を扱える環境を構築し,変形の分解能を向上させた. 開発した環境では昨年度は5mmであった分解能が1mmに向上し,曲線もより滑らかに再現できるようになった.しかし,小立方体数が増加したことにより,位置の計算,接触判定,描画の処理にかかる時間も増大し,リアルタイムに処理が終了しなくなった.そこで,増加した処理をGPGPUによって並列化することで高速化を試みた. 並列化により接触判定に要する時間が0.0148sから0.0039sとなり,約4倍高速化できた.しかし,頂点位置の計算に要する時間は0.0463sから0.0516sに,描画に要する時間は0.0230sから0.0345sにそれぞれ増加した.これはCPU-GPU間のデータ転送が遅いことが原因であると考えている.システムをリアルタイムに使用するためには,30Hzで描画するとして1フレーム当たり0.0333s以内に処理を完了しなければならない.さらなる高速化が課題である.
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