○研究目的:近年フィジカル・コンピューティング、パーソナルファブリケーションなど、ユーザー主導型のイノベーションが起こりはじめている。しかし、これらの実現にはあらゆる言語や環境に対するライブラリが提供されているわけではなく、相互に連携し日常生活のあらゆるモノや空間に遍く入り込みサービスを提供するユビキタス環境ではそれに適したハードウェア・ソフトウェア開発が必要である。早い段階で実際に動作するプロトタイプを素早く製作-評価するサイクルを繰り返して行うことは、高専学生においても、万能なモノづくりに効果的であり、本研究では次の時代を担う高専学生が自ら様々なセンサを有するコンピューティング演習を通じ、創造の自由度を向上させることで世界の広がりや楽しさにつなげることを目的としている。 ○研究方法: 1.フィジカル・コンピューティング用教材の試作 マイクロコントローラArduino+ライブラリと18種類のセンサ、3種類のLED、2種類のモータなどのモジュール群を使用し、ActionScript3/Processingを組み合わせ、ブレッドボード上での演習、また安価で簡単に扱える評価ボードの試作・マニュアルの準備、電子情報工学系以外の学生でも容易にデバイスのデザインを行える環境の整備を行った。 2.オープンソースハードウェアのための手軽なミドルウェア開発 マイクロソフトの.NET Micro Frameworkでプログラミング可能なマイクロコントローラNetduinoとWebブラウザープラグインSilverlightのOut-Of-Browser(OOB)で動作するサンプルアプリケーションを試作し、手軽に扱うことができるミドルウェアの開発・親和性を向上させる手法について評価検討を行った。 ○研究成果:高専学生が自ら様々なセンサ等に触れることで、実物があるコンピューティング演習に興味を持たせることができ、自由な発想で新たなモノづくりへの期待や楽しさを向上させることができた。IEEE802.15.4を用いたワイヤレス・データ通信は特に興味を引き、楽しく取り組めたようである。専攻科・高学年生用に応用例として総務省SCOPE(戦略的情報通信研究開発推進制度)で開発製作されたマイコンボードと連携させ、複数の計測モジュールとして教材を活用して開発に参加し、実用テストを開始することができた。
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