<研究目的> 本研究では、離散型生産システムのために開発した挙動表現モデル「拡張時間ステートチャート」のモデル化手法、及び、そのモデルに基づく制御系設計手法を提案するとともに、そうして設計されたシステムが正しく動作するかどうかを検証するための手法を確立することを目的としている。 <研究方法と成果> 1.モデル化手法の開発に関しては、拡張時間ステートチャートの持つ自由度を一部制限し、その代わりに系統的に生成させるという方法を、生産システムが本来持っている「プロセスネットワーク型の構造」を生かすというアイディアに基づいて開発した。また、その妥当性・有効性を、計画の追加・取り消し・変更が頻繁に起こる現実規模の「特殊プラスティックフィルム製造プラント」を用いて確認した。(研究成果(雑誌論文)の2つ目)更に、本方法の有用性を、汎用ツール「UPPAAL」を用いた比較実験により確認した。(研究成果(雑誌論文)の3つ目) 2.制御系設計手法の開発については、制御動作を実機上で実現するのに必要な様々な情報を、拡張時間ステートチャートから、いくつかの「テンプレート」を用いて系統的に抽出させる方法を開発し、その妥当性・有効性をフローショップ型のFA実験装置を用いて確認した。(SICE論文誌投稿中) 3.拡張時間ステートチャートに基づく検証手法としては、モデルチェッキング手法に基づく論理的検証手法の開発を進めると共に、「詳細な部分検証がし辛い」という当該検証手法の弱点を補うための方法論の開発を行った。;具体的には、拡張時間ステートチャート上の性質検証を、そのモデルの中間モデルとして得られるプロセスネットワーク型モデル上で間接的に行わせるような方法論として、汎用ツール「SPIN」の利用を前提とした手法を開発し、その妥当性・有効性を、FA実験装置を用いて確認した。(研究成果(雑誌論文)の1つ目)
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