(研究目的) 近年、コンクリートの乾燥収縮とアルカリシリカ反応(ASR)との両抑制対策の観点から、全国的に石灰石骨材の使用が注目されており、北陸地方の一部の地域でも、石灰石をコンクリート用骨材として使用されてきている。しかし、アメリカやカナダでのASRによる劣化事例から、不純物を含む一部の石灰石は、反応性鉱物である隠微晶質石英を含有することがあり、このような石灰石を用いたコンクリートは遅延膨張型のASRが発生することが知られている。そのため、北陸地方で使用される石灰石骨材の岩石・鉱物学的特徴とASTM C1260によるアルカリシリカ反応性の評価の適否を検討した。 (研究方法) 1.石灰石骨材の岩石・鉱物学的特徴の調査 現地の砕石山から採取した石灰石骨材の化学成分や鉱物組成をX線回折分析、蛍光X線分析および偏光顕微鏡観察により明らかにする。 2.石灰石骨材のアルカリシリカ反応性の評価 化学法(JIS A1145)、モルタルバー法(JIS A1146)および促進モルタルバー法(ASTM C1260)を実施し、石灰石骨材の適切なASRの判定方法を明らかにする。 (研究成果) 石灰石骨材の産出地によっては、石灰石中のはさみ(不純物)として頁岩やチャートなどを含有しているものがあった。これらの不純物を含んだ石灰石骨材のASR試験では、化学法(JIS A1145)やモルタルバー法(JIS A1146)では判定できないが、促進モルタルバー法(ASTM C1260)では、不純物による影響を適切に評価できる事が確認された。
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