研究概要 |
本研究の目的は,保健室での健康相談活動に「折り紙」を導入し,生徒の気持ちや行動の変化からその効果を検討し,個々の生徒の精神的健康や,支援を要する生徒と折り紙の種類の関連を明らかにすることであった。方法として第2学年生徒78名を対象に,折り紙経験アンケート,日本版GHQ28精神健康調査,フェイスマークによるあなたの今の気分カード,折り紙調査を実施した。折り紙調査では「1枚折り,簡単」「1枚折り,難しい」「複合折り紙」「動く,遊びのある折り紙」「パーツを組み合わせる」「パーツを組み合わせた立体」の6種類の折り紙から自分の折りたいものを選ばせ,折り紙を折る前と後の気分の変化について分析を行った。これらの調査の分析結果から,個々の生徒の傾向,症状(身体疲労・不安不眠・社会活動障害・うつ傾向)における有効な折り紙の種類が明らかになってきた。「動き,遊びのある折り紙」は,完成したことによる達成感と折った作品が動くという意外性と驚きにより生徒が興味を持ったことが考えられ,どの症状においても選んだ生徒が最も多く,気分もプラスに改善されていることから,保健室での健康相談活動において折り紙を導入する場合には,最初に導入することで効果が得やすいという結果となった。また,生徒に提示する折り紙は,比較的簡単で見栄えがよく完成できることを考慮し,選ぶ必要があることがわかった。これらのことから,養護教諭が健康相談活動を行うときに誰でも活用できるツールとしての具体的な折紙の種類を一般化していくことへの第1歩となった。
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