研究目的 食品摂取で自律神経の交感神経活動が生じることが広く知られている。その食品中に含まれるジンゲロール。カプサインシンなどの辛み成分は、体内の体熱産生と自律神経活動に関係があることが報告されている。しかしながら、ヒトのSNP等の肥満遺伝子レベルを含めた自律神経活動と辛み成分との関係についてはほとんど研究報告がないため、そこでヒトの自律神経活の生体信号を非線形・線形信号解析方法を通して、より正確に自律神経活動と体内の体熱産生との関係を評価することを研究目的とした。 研究方法 実験では、体内熱産生が生じるショウガの食物を用いる。この食品成分には、ジンゲロール、ショウガオール、ジンゲロンがある。次に、先行研究から体内熱産生を生じるジンゲロールの成分量を算出し、その成分量(0.15g)を用いてヒトの食物摂取前後の非侵襲血行力学動態及び心拍からの自律神経活動を同時計測・解析する。一方、自律神経機能を評価する手法の一つに心拍変動解析があり、この解析成分であるVLF(体内熱産生作用)、LF、HF(副交感作用)、LF/HF(交感作用)などを求めて評価した。 研究成果 ショウガの摂取前後での自律神経活動の解析結果より、線形・非線形信号の混合信号成分が含まれていることを示し、これらを別々に解析することによって生理指標の再検討する必要性があることが示唆された。この解析方法下でショウガの生理効果をより鮮明に示すことが可能であった。
|