研究課題/領域番号 |
23H00033
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分5:法学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
後藤 元 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (60361458)
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研究分担者 |
清水 剛 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (00334300)
神山 弘行 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (00361452)
伊藤 一頼 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (00405143)
小島 慎司 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (00468597)
寺谷 広司 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (30261944)
笠木 映里 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (30361455)
荒木 尚志 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (60175966)
神吉 知郁子 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (60608561)
高村 ゆかり 東京大学, 未来ビジョン研究センター, 教授 (70303518)
増見 淳子 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (70980556)
藤田 友敬 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (80209064)
太田 匡彦 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (80251437)
飯田 秀総 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (80436500)
平田 彩子 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 准教授 (80547810)
藤谷 武史 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (90313056)
松井 智予 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (70313062)
土岐 将仁 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 准教授 (60707496)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
46,670千円 (直接経費: 35,900千円、間接経費: 10,770千円)
2024年度: 11,960千円 (直接経費: 9,200千円、間接経費: 2,760千円)
2023年度: 10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
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キーワード | サステナビリティ / ESG / 資本主義 / 民主主義 / ソフトロー / 企業の社会的責任 / 環境汚染 / 気候変動 / ビジネスと人権 / 働き方の多様化 / パンデミック / 財政の持続可能性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、気候変動等の社会的課題を解決する主体としての企業への期待が高まる中で、そのよ うな期待が会社法・資本市場法および公法の伝統的な考え方と緊張関係に立つことを踏まえ、 環境・エネルギー、人権、雇用・労働、社会保障の4つの領域を対象に、企業が社会的価値に配慮するメカニズムや国家・社会が企業を誘導するソフトロー的手法の分析を通じて、企業が果たし得る役割の可能性と限界の有無・程度、そして法が果たすべき役割を解明し、 「持続可能な社会」の実現を可能とするための建設的な議論の枠組みを構築しようとするものである。
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研究実績の概要 |
各論のうち、まず環境・エネルギー分野については、東京電力福島第一原発事故に関する株主代表訴訟を手掛かりに、企業活動に伴う環境汚染等に関する取締役の会社に対する義務のあり方を分析したほか、気候変動に関して、なぜ日本で環境税が積極的に用いられるに至っていないかを政治的・法制度的要因も含めて分析した。 次に、人権分野に関しては、サステナビリティ開示に関する日本の状況について分析したほか、次年度以降の成果公表に向けて、「ビジネスと人権」の問題について憲法学・国際人権法学・企業のリスクマネジメントの観点から多角的な検討を進めている。 また、雇用・労働分野に関しては、職場におけるいじめ・ハラスメントに関する比較法的研究のほか、AIの活用や働き方の多様化という雇用・労働関係の変化を受けて、労働組合の役割やフリーランスの労働法上の位置付けを分析し、またコロナ禍を契機に浮き彫りとなった日本の労働市場における脆弱性への対策について、持続可能性と格差是正という視点から、多様な働き方に応じた労働時間法制の在り方を検討した。 社会保障分野に関しては、パンデミック下の医療提供体制や社会福祉法人・宗教法人制度の分析を通じて、私的主体を通して社会的課題を解決しようとする際に生じる問題点の検討を行ったほか、財政の持続可能性という観点から危機時の緊急的財政措置の在り方や、所属分配と税制の在り方などを分析した。 また、総論的課題(特にガバナンス班のもの)に関連する研究も開始しており、分析手法としての法と経済学の展開についての検討のほか、会社法と経営実務の相互作用や株主の利益を保護する手段としての株式買取請求権の在り方、各国の人権・環境デューディリジェンス規制の域外適用の国際法的な妥当性、行政組織内で働く弁護士の役割認識・影響や現場レベルの行政職員に対する市民からの評価などについて分析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各論の各班における研究も順調に開始することができ、既に複数の成果を公表するに至った分野も存在する。また、今後の研究の方向性を共有するために、プロジェクト全体でのミーティングも原則として毎月開催し、各自の研究課題についての意見交換も行った。 総論のガバナンス班・サステナビリティ班についても、海外の研究者を招いたセミナーを4回開催するなどして、本格的検討の準備を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の進め方として、2024年度は2023年度と同様に【A】環境・エネルギー、【B】人権、【C】雇用・労働、【D】社会保障の4つの各論班における検討に重点を置く予定である。特に環境・エネルギー分野と人権分野の検討を進めたい。具体的な検討内容は、各班のメンバーの問題関心に応じて設定し、各班の班長と後藤(研究代表者)・神山(総括補佐担当)とで進捗状況を随時共有する。また、2025年度以降に予定している総論部分の本格的検討の準備作業として、各論の具体的検討の中で、各文脈における「持続可能性」概念の背後に存在し得る複数の社会的課題や価値の衝突や、社会的課題の解決に向けた企業の役割と株主利益中心主義・民主主義との緊張関係を意識して分析を進め、そこで得られた知見を【I】サステナビリティ班と【II】ガバナンス班での議論を通じて、メンバー全員で共有する。 2024年度の後半には、本研究計画のメンバー以外の研究者から、本研究計画の方向性と進捗状況についてのフィードバックを受ける機会も設けることを検討している。 2025年度以降は、各論的課題についての研究の取りまとめを進めつつ、総論部分の検討を本格化させる予定である。
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