研究課題/領域番号 |
23H00037
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分5:法学およびその関連分野
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
須網 隆夫 早稲田大学, 法学学術院(法務研究科・法務教育研究センター), 教授 (80262418)
|
研究分担者 |
伊藤 一頼 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (00405143)
近藤 圭介 京都大学, 法学研究科, 准教授 (00612392)
中井 愛子 大阪公立大学, 大学院法学研究科, 教授 (00815722)
大野 悠介 東洋大学, 法学部, 准教授 (00836926)
VANOVERBEKE DIMITRI 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (00933409)
山元 一 慶應義塾大学, 法務研究科(三田), 教授 (10222382)
齋藤 民徒 関西学院大学, 法学部, 教授 (10401019)
寺谷 広司 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (30261944)
小畑 郁 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (40194617)
江島 晶子 明治大学, 法学部, 専任教授 (40248985)
根岸 陽太 西南学院大学, 法学部, 准教授 (50815983)
川瀬 剛志 上智大学, 法学部, 教授 (60275302)
大道寺 隆也 青山学院大学, 法学部, 准教授 (70804219)
Ismatov Aziz 愛知県立大学, 日本文化学部, 准教授 (90751206)
栗島 智明 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (90846453)
高田 陽奈子 大阪大学, 大学院国際公共政策研究科, 准教授 (90848095)
最上 敏樹 早稲田大学, 政治経済学術院, 名誉教授 (70138155)
吉田 曉永 早稲田大学, 法学学術院, 講師(任期付) (60979160)
大藤 紀子 獨協大学, 法学部, 教授 (00296287)
清水 章雄 早稲田大学, 法学学術院(法務研究科・法務教育研究センター), 名誉教授 (70142784)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
43,940千円 (直接経費: 33,800千円、間接経費: 10,140千円)
2024年度: 12,220千円 (直接経費: 9,400千円、間接経費: 2,820千円)
2023年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
|
キーワード | グローバル立憲主義 / 国際組織 / 国際法理論 / 国際人権法 / 国際経済法 / 国際法 / 憲法 / 途上国問題 / EU法 |
研究開始時の研究の概要 |
冷戦終結後の国際秩序はロシアのウクライナ侵略により不安定化し、国際社会は安定的に平和を維持しながら、地球レベルの諸課題に対処できる、新たなガバナンスの枠組みを求めている。秩序・制度を構想するには、それを指導する理念・原則が必要である。本研究は、グローバル化とそれへの反発という正反対のベクトルの並存を背景にした、国内・国際両法秩序の構造変容の下、様々な場面で、国内・国際の二分法で把握できない現象が生じていると認識した上で、国内立憲主義に由来する「グローバル立憲主義」を脱西洋化して真に普遍的な理論に発展させ、それに基づくグローバルな秩序構想と制度論を欧米・アジアの研究者との共同作業により探求する。
|
研究実績の概要 |
2023年度は、当初の研究計画に従い、「脱西洋化させたグローバル立憲主義に基づく秩序構想」を探求するために、以下のように研究計画を遂行した。第一は、全体研究会の開催であり、研究分担者・協力者が参加する全体研究会を8月以降4回開催し、上記探求に係る諸論点につき、毎回メンバーの報告を基礎に討議を進めた。特に9月には一泊二日の研究合宿として開催し、人権条約機関・人権裁判所等につき集中的に議論するとともに、代表者・分担者間で問題意識の統一を図ることがてきた。第二に、非西洋の研究者との協力を強化するために、前期合宿で決定したウズベキスタンでのワークショップ開催を準備するために、ウズベキスタンへの出張を予定する分担者を中心に研究会を12月以降3回開催し、ウズベキスタンの憲法状況、上海協力機構を中心とするウズベキスタンの対外関係を検討し、その上で2024年3月、現地でワークショップを開催し、ウズベキスタンの研究者と議論するとともに憲法裁判所を始め関係者と意見交換を行った。第三に、イタリア・メッシーナ大学のDonato教授と協力して、2024年1月、日本国憲法に関するオンラインセミナーを開催し、西洋の研究者とも立憲主義をめぐる議論を深めた。第四に、秩序構想を練り上げるためには、グローバル秩序の理論的検討も強化する必要がある。そこで代表者と一部の分担者で、12月に一泊二日の研究合宿を開催し、グローバル法秩序につきユニークな主張を提示する、オランダのLindahl教授の業績を検討した。第五に、研究成果公表の媒体として新たな英語雑誌の公刊の準備を、ポルトガル、カトリック・グローバル・ロースクールのMaduro教授と開始し、第一回の編集委員会を、2024年2月に開催した。第六に、研究代表者も、11月に北京大学で、2024年3月に、韓国研究者とのワークショップで各報告し考察を深めることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、欧米・アジアの研究者との共同作業を通じて本研究の課題を探求しようとするものであるところ、以下の理由により、そのような共同作業は概ね順調に推移することができた。第一に、全体研究会では、民主主義・人権などの立憲的諸原則に係わる秩序像に関する様々なアイデアを議論することができ、実証的研究に止まらない、本研究の方向性を研究グループとして共有できた。第二に、代表者を始め分担者はいずれも西洋の研究者とは以前より十分な協力関係を構築しているが、東アジア以外のアジアの研究者との連携はこれまで不十分であり、それをどう構築するかはグローバルな課題を真にグローバルに議論しようとする本研究の課題であった。しかし9月の合宿で、非西洋の研究者との共同作業を進めるために、アジア諸国でのワークショップ開催のアイデアを議論し、まずは中央アジア・ウズベキスタンでのワークショップを具体化できたことは大きな成果であった。同ワークショップには、ロシアからも研究者を招請し、その報告に基づく非公開のワークショップを別途開催できたことも、特にウクライナ侵略後、学術交流が困難となっているロシアの国内状況・国際秩序への対応を理解する上で貴重であった。第三に、アジア諸国との連携は引き続き本研究の課題であるが、2023年度はバーミンガム大学のShahabuddin教授の協力により、バンクラデッシュでのワークショップ開催準備も開始し、2024年度開催の可能性が見えてきた。第四に、成果発信の点でも、代表者はじめ分担者の多くが、国際会議・ワークショップでの報告の機会を得、また英文業績の公表も進んでいることは、今後の国際的な議論の基礎を確立するものである。以上、分担者・協力者との国内研究会と海外研究者との国際ワークショップを有機的に結合させて、研究課題への考察を深めていく体制が確立しつつあることが研究を晨朝に進捗させている。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度も現在の方針を維持して、海外の研究者との意見交換を行いながら、国内における研究を進める。国内での研究成果を国際的に検証し、その結果に照らしてさらに発展させるという過程を繰り返すことにより、本研究の成果がより充実するだけでなく、世界的な議論にも影響を与え変容させることができる。そのために具体的には第一に、国内では引き続き全体研究会において、グローバル秩序構想の様々なアイデア・諸側面を代表者・分担者の報告を基礎に議論する。通常の研究会はオンラインで開催するが、昨年と同様、9月には一泊二日の研究合宿を開催し、重要課題につき集中的な議論を組織する。そして各報告者のアイデアを支えるために、国際法理論・法哲学・立憲主義などの基礎的な課題につき一部のメンバーによる研究会を、全体研究会と並行して適宜実施する。第二に、アジアの研究者との共同作業の機会として、2023年度より準備中のバングラデッシュでのワークショップを、20204年度後半に、代表者・分担者の参加により開催する。そのために、参加予定者を中心に研究会を適宜開催する。日本にとって、これまで南アジアとの学術交流の経験は乏しく、バングラデッシュでのワークショップは、途上国の現状を理解するとともに、途上国のグローバル秩序における地位・役割を検討する貴重な機会になると期待される。第三に、国際会議・ワークショップでの報告は、本研究の成果発信の場であるとともに、我々の成果を国際的に検証し、更なる発展のための示唆を得る機会である。代表者に限っても、6月に南アフリカ、秋に中国で報告予定である。本研究グループの活動は国際的にも注目され、国際会議への招待が増えているが、可能な限り対応していく予定である。第四に、成果公表のための新たな英語雑誌の公刊は、ヨーロッパの出版社と交渉中であり、その成否は未定であるが、可能な限り積極的に対応する。
|