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データ科学で解明する新しい国際政治経済秩序

研究課題

研究課題/領域番号 23H00042
研究種目

基盤研究(A)

配分区分補助金
応募区分一般
審査区分 中区分6:政治学およびその関連分野
研究機関早稲田大学

研究代表者

栗崎 周平  早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授 (70708099)

研究分担者 水野 貴之  国立情報学研究所, 情報社会相関研究系, 准教授 (50467057)
土井 翔平  北海道大学, 公共政策学連携研究部, 准教授 (30889134)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2028-03-31
研究課題ステータス 交付 (2025年度)
配分額 *注記
45,760千円 (直接経費: 35,200千円、間接経費: 10,560千円)
2025年度: 10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
2024年度: 9,490千円 (直接経費: 7,300千円、間接経費: 2,190千円)
2023年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
キーワード株式保有ネットワーク / 企業の所有と支配 / 構造的支配 / 経済安全保障 / 計算社会科学 / 国際政治経済 / 世界秩序 / データ科学 / ゲーム理論 / 安全保障 / 国際政治経済の新秩序 / 構造的パワー / グレーゾーン・パワー / 企業所有と支配 / 人工知能 / 新国際政治経済秩序 / 企業支配 / グレーゾーン
研究開始時の研究の概要

新国際秩序では勢力拡大の主戦場は金融市場を含むグレーゾーンに移行しつつある。昨年全世界の株式運用残高は米国GDPの4倍に達しその規模は更に肥大化している。株式市場はグローバル規模でデジタル化した結果、全ての株式投資が単一のネットワークに統合されつつある。肥大化した市場では株式保有を通して企業支配力を増幅する勢力が存在する。本研究はデータ科学と数理政治学の協働で開発した新しい理論モデルと分析アルゴリズムを活用し、 全世界の上場企業4億社の株式保有関係の大規模データを解析することで、株式保有を通した企業支配が政治支配力に変換されていることを実証し、国際政治秩序に影響を及ぼそうとする予兆を観測する。

研究実績の概要

本年度は本研究課題を推進する上で幾つかの基盤的な研究を進めた。第一に、株式保有ネットワークを通した新しい力の形成とその影響を計測するために、これまで本研究チームが構築してきたNetwork Power Index (NPI)を拡張し、中間株主とくに現在の株式市場における投資実績の大部分を占める運用会社(例えばBlackRock)やその他の大規模金融機関(例えばシティバンク)が間接的に保有する企業支配力を正しく計測するためにNetwork Power Flow (NPF)というモデルとそれを実際に大規模データで走らせるアルゴリズムを開発し学術論文として出版した。第二にNPIやNPFの計算に際して問題となる株式構成のデータ欠損の問題を考慮した多数派形成の算出方法について検討を加え従来のモデルを改善した(前述論文で記載)。第3に、これら金融市場での影響力のモデルが国際政治経済に与えるインパクトをデータで捕捉するためには、各種のデータベースを企業や株主(法人・個人)で識別した上で接合する必要があるため、大規模言語モデルや深層学習の最新の知見を動員してこれらエンティティのマッチングを達成するAIを開発した。例えばSeven Elevenと7-11は一文字もマッチしないが、これが同じエンティティであると判定することを実現するシステムである。第4に、この株式保有ネットワークを介した実質的株主(支配者)の同定する技術の応用先として社会的要請の大きいサプライチェーン分析に関して、既存の技術ではサプライチェーンの推定は非常に困難であるため、実用に耐えるサプライチェーン同定のAIを開発した。これは社会的要請が大きいため学術発表の先立ち『日経ビジネス』誌でその実演をしつつ特許申請をした。また経済安全保障などの現場の要請から幾つかのForensic的な機能を開発し付加した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

国際政治経済の新秩序が立ち上がろうとしているその原動力としての株式保有を通したマネーと意思決定の構造的パワーとしての役割を記述するという最終目標に向けて、データ科学として必要な分析ツールを現在は開発している。その際に、実際に経済安全保障の問題に取り組んでいる複数の政府担当部局や、データベンダー(Moody'sなど)や、金融機関や事業会社などとコミュニケーションを取りながら、その実態を反映したデータ科学上のツールを順調に開発することに成功してきている。

今後の研究の推進方策

本年(2024年)度に注力するプロジェクトは優先順位に以下の通りである。1)サプライチェーン強靱化の前提としてのサプライチェーンの特定と可視化の手段として政府機関や大手民間調査会社やコンサル会社は文献調査・聞き取り調査に依拠しており多大な人的・時間的コストを費やしつつも、満足のいく調査結果を得られていない。そこでサプライチェーンの特定・可視化を自動化する方法論について研究書を執筆する予定である。これについては欧米の大学出版会からの依頼で現在はプロポーザルの査読中である。2)株式保有を通じた企業所有・支配の影響力を定量化するNPIおよびNPFをその他周辺の指標とともに主に政治学コミュニティに向けてデータを公開する。データはまずは国家単位でNPI・NPFを集積したデータセット、ついで企業間のNPI・NPFを集積するデータベースと、2段階でリリースする。前者は技術的に従来型のものであり提供する我々の側もまたそれを利用する政治学コミュニティも対応できるが、後者はいずれにとっても技術的に乗り越えるべき壁がいくつかあるためである。データのリリースに際してはデータセットの一般データデポジトリへの登録、コードブックの作成やデータ紹介論文という作業が伴うが、まずはβ版を作成し、国際政治経済の研究者を中心に試験的に使用してもらった上で、早稲田大学に招聘しフィードバックを得る会議を開催する予定である。この会議の開催時期は来年度以降にずれ込む可能性があるが、まずはβ版のリリースを目指す。さらにNPI・NPFを利用してノルウェー銀行やICANのdivestment活動のその後を検証するプロジェクトを進める。ここでは投資を引き上げつつも間接的な投資によって前者はESG原則に反する企業、後者は軍需企業への投資流入が依然として解消されていない実態を可視化する。

報告書

(2件)
  • 2023 審査結果の所見   実績報告書
  • 研究成果

    (11件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件) 産業財産権 (2件)

  • [雑誌論文] The flow of corporate control in the global ownership network2023

    • 著者名/発表者名
      Mizuno Takayuki、Doi Shohei、Kurizaki Shuhei
    • 雑誌名

      PLOS ONE

      巻: 18 号: 8 ページ: 1-22

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0290229

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Detecting similarity in political positions of politicians in categorized multilingual tweets2024

    • 著者名/発表者名
      陳景慧, 水野貴之
    • 学会等名
      第3回 計算社会科学会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] カテゴリ化された多言語ツイートから政治家間の政治的立場の類似性検出2024

    • 著者名/発表者名
      陳景慧, 水野貴之
    • 学会等名
      第34回社会システム部会研究会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] Estimating Political Positions from Twitter Contents Using Multilingual Text Embeddings and Graph Neural Networks2024

    • 著者名/発表者名
      陳景慧, 水野貴之, 土井翔平
    • 学会等名
      第19回 ネットワーク生態学シンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] Transparency in Supply Chain and Ownership: Visualizing National Economic Security Risks through Network Power Flow2023

    • 著者名/発表者名
      Takayuki Mizuno, Shohei Doi, Shuhei Kurizaki
    • 学会等名
      Firm-level supply chain networks 2023 (satellite meeting of NetSci2023)
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] The Flow of Corporate Control in the Global Ownership Network2023

    • 著者名/発表者名
      Takayuki Mizuno, Shohei Doi, Shuhei Kurizaki
    • 学会等名
      The 12th International Conference on Complex Networks and their Applications (Complex Networks 2023)
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] X-based Link Analysis and Relation Detection with Political Campaign Donations2023

    • 著者名/発表者名
      Jinghui Chen, Takayuki Mizuno
    • 学会等名
      10th International Conference on Computational Social Science
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 多言語Tweetによる国家の枠組みを超えた政治的イデオロギーの検出2023

    • 著者名/発表者名
      陳景慧, 水野貴之, 土井翔平
    • 学会等名
      人工知能学会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 多言語環境におけるトピックに基づく政治的イデオロギーレベルの推定2023

    • 著者名/発表者名
      陳景慧, 水野貴之
    • 学会等名
      2023年度経済・社会の分野横断的研究会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [産業財産権] 情報処理装置、情報処理方法、および、情報処理プログラム(調達経路推定システム)2024

    • 発明者名
      水野貴之, 栗崎周平, 土井翔平
    • 権利者名
      水野貴之, 栗崎周平, 土井翔平
    • 産業財産権種類
      特許
    • 出願年月日
      2024
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [産業財産権] 影響力評価システム2023

    • 発明者名
      水野貴之, 土井翔平
    • 権利者名
      水野貴之, 土井翔平
    • 産業財産権種類
      特許
    • 出願年月日
      2023
    • 取得年月日
      2023
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2025-06-20  

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