| 研究課題/領域番号 |
23H00048
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| 研究種目 |
基盤研究(A)
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| 配分区分 | 補助金 |
| 応募区分 | 一般 |
| 審査区分 |
中区分7:経済学、経営学およびその関連分野
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| 研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
渡部 敏明 一橋大学, 大学院ソーシャル・データサイエンス研究科, 教授 (90254135)
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| 研究分担者 |
大森 裕浩 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (60251188)
塩路 悦朗 中央大学, 商学部, 教授 (50301180)
新谷 元嗣 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (00252718)
加納 隆 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (90456179)
山本 庸平 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (80633916)
中島 上智 一橋大学, 経済研究所, 教授 (20962062)
森田 裕史 東京科学大学, 工学院, 准教授 (70732759)
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| 研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2025年度)
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| 配分額 *注記 |
45,890千円 (直接経費: 35,300千円、間接経費: 10,590千円)
2026年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
2025年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
2024年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
2023年度: 10,140千円 (直接経費: 7,800千円、間接経費: 2,340千円)
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| キーワード | 不確実性 / ボラティリティ / 金融 / マクロ経済 / 自然災害 / インフレ率 / テキストデータ / 金融政策 / 財政政策 / 金融・財政政策 / 金融市場 / 新型コロナウイルス / 気候変動 |
| 研究開始時の研究の概要 |
本研究の概要は以下の通りである。Ⅰ. 金融市場の不確実性指標を構築する。Ⅱ. マクロ経済の不確実性指標を構築する。Ⅲ. 自然災害の不確実性指標を構築する。Ⅳ. Ⅰ~Ⅲで構築した不確実性指標を用いて計量分析を行い、不確実性が金融市場に与える影響を明らかにする。Ⅴ. 同様に、不確実性がマクロ経済に与える影響を明らかにする。Ⅵ. ⅣとⅤで得られた結果と整合的なマクロ経済モデルを構築する。Ⅶ. Ⅵで構築したマクロ経済モデルを用いて、不確実性を考慮した望ましい金融・財政政策を提言する。
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| 研究実績の概要 |
まず、資産価格変動の不確実性を表すボラティリティについて、以下の研究成果が得られた。(1)日中の資産価格のボラティリティ変動を表すモデルとして、確率的ボラティリティ変動(SV)モデルに日中の資産価格の高頻度データから計算される実現ボラティリティを加えた新たなモデルを提案し、このモデルによる日次ボラティリティの予測精度が高いことを示した。(2)SVモデルにリスクプレミアムを加えたモデルの効率的な推定方法を提案し、このモデルが他の競合モデルよりも当てはまりの良いことを示した。 次に、マクロ経済の分析でも、以下の研究成果が得られた。(3)マクロ経済の不確実性が金融政策の波及経路に及ぼす影響について実証分析し、金融政策アナウンスメントに含まれる情報効果が不確実性の変化を通じて経済活動に影響を与えることが明らかにした。(4)新聞報道等のテキストデータを用いることで、マクロ経済モデルの推定や将来予測の精度が改善されることを示した。(5)日本経済新聞記事テキストデータを分析し、公共投資に関する新たなニュースが流れたタイミングを特定した指標を構築した。(6)インフレ率の動向を分析する枠組みとして、閾値を含む非線形な計量モデルを開発し、日本のインフレ率の過去30年間の動向について、その非線形性を確かめた。(7)ゼロ金利制約下の政策効果と景気循環を説明する動学的マクロ経済モデルを構築し、マクロ経済データからショックを識別することで、インパルス応答関数を推定した。(8)非伝統的金融政策の効果について、マイナス金利政策の期間においては、政策余地が限られていることから、経済動向が金利に与える効果が小さくなることを明らかにした。(9)財政政策について、日本の財政当局の税収見通しが非効率であることを明らかにし、過去の予測誤差を用いた改善策を提案した。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
2: おおむね順調に進展している
理由
2023~2024年度の研究計画は、Ⅰ.金融市場の不確実性指標の構築、Ⅱ.マクロ経済の不確実性指標の構築、Ⅲ.自然災害の不確実性指標の構築であった。Ⅰについては、資産市場の不確実性を表すボラティリティについて多くの研究成果が得られ、Ⅱについても、 既に日米のマクロ経済に関する不確実性指標を構築し、2025~2026年度に行う予定だった実体経済に与える影響の計量分析まで行った。Ⅲについても、新型コロナウイルスに関して、新聞報道等のテキストデータから、政策に関する不確実性指標と疫学的な不確実性指標を構築し、同じく2025~2026年度に行う予定だった金融市場や実体経済に与える影響の計量分析まで行った。2023年度は、査読付き英文学術誌に15本の論文が掲載され、国内外の学会・研究会で29回の報告を行い、2024年度は、査読付き英文学術誌に12本の論文が掲載され、国内外の学会・研究会で30回の報告を行い、これらのことから、「おおむね順調に進展している」と判断する。
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| 今後の研究の推進方策 |
2025年度は、2024年度に得られた研究成果を論文にまとめ、査読付き英文学術誌に投稿するとともに、新たに、Ⅳ 不確実性が金融市場に与える影響の計量分析、Ⅴ 不確実性がマクロ経済に与える影響の計量分析を開始する。 Ⅳについては、2024年度に以下の研究を行った。(1)大森と渡部が提案したRealized Stochastic Volatility (RSV) モデルを日中ボラティリティの変動を表すモデルに拡張した。(2)RSVモデルのリターンの分布をより一般的な非対称t分布に拡張した。(3)日中の高頻度のリターンから計算されるRealized Volatility (RV) の時系列モデルとして、長期記憶性とラフ性を両方持つモデルと推定法を提案した。(1)はJournal of Empirical Financeに採択されたが、(2)、(3)はまだ査読付き英文学術誌には掲載されていないので、掲載を目指す。また、これらのモデルを用いて不確実性が金融市場に与える影響の計量分析を開始する。 Ⅴは、既にマクロ経済の不確実性指標を構築しているが、2025年度は、経済予測に関するアンケート調査の個票データを利用した不確実性指標の作成を行う。各エコノミストの予測のばらつきや予測の改定度合いに注目し、いくつかの不確実性指標を作成し、従来の指標との関連性やマクロ経済・金融指標との相関を明らかにする。また、経済の不確実性が高まった2010年以降において、日本の大規模な為替介入政策がどのような効果を有したかを定量的に検証する。さらに、コロナ禍により急激に落ち込んだ経済の回復力を計測するためのレジリエンス指標を開発したうえで、日本経済の回復力を定量的に把握する。 それぞれ結果が得られたら、EcoSta, CFEなどの国際学会で報告し、査読付き英文学術誌への掲載を目指す。
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