研究課題/領域番号 |
23H00055
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分7:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
花木 伸行 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (70400611)
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研究分担者 |
高橋 悠太 一橋大学, 経済研究所, 講師 (10835747)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
46,670千円 (直接経費: 35,900千円、間接経費: 10,770千円)
2024年度: 12,870千円 (直接経費: 9,900千円、間接経費: 2,970千円)
2023年度: 10,660千円 (直接経費: 8,200千円、間接経費: 2,460千円)
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キーワード | 期待形成 / 行動マクロ経済学 / 経済実験 |
研究開始時の研究の概要 |
2007年に米国で端を発した世界同時金融危機は合理的期待形成仮説に基づいた既存のマクロ経済学を超えた新しい期待形成理論の必要性を明確にした。それに対応し、合理的期待形成仮説を緩めた行動期待形成モデルに基づいた行動マクロ経済学の研究が精力的に進められている。本研究は、これらの最新の行動期待形成モデルを被験者実験で検証することを通じて、急速に発展している行動マクロ経済学のミクロレベルの基礎付けに貢献することを目的とする。
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研究実績の概要 |
今年度は、将来の複数期間にわたる予測が今季の価格を決定する「動的美人投票ゲーム」の実験を実施し、その結果をとしてまとめ、ESAのアジア太平洋大会、世界大会、実験金融学会、計算経済学学会等の国際学会等で発表した。また、これらの発表を通じて得られたコメントに基づいて論文を改訂し、Hanaki and Takahashi (2023, ISER DP 1213)として公表した。また、この研究を通じて、Diagnostic Expectationモデルは、内生的に価格が決定される実験枠組みで検証することは複雑であることが明らかになったため、より単純な実験設定から開始することとし、時系列を外生的に発生させた上で、参加者に将来価格を予測させる予測実験の枠組みを開発し、パイロット実験を実施し、データを分析した。その結果に基づき、現在、実験の設定の修正を行なっている。 また、最近のAIの発展を鑑み、実験参加者が予測形成にあたり、AIの情報をどれだけ利用するかに関しての実験研究も進めた。その成果の一部をTse et al., (2024)や、Fu and Hanaki(2024, ISER DP 1233)にまとめて公表した。また、感情の起伏が期待形成に与える影響を検証する投資実験や、情報獲得に費用がかかる場合の情報取得と、それが機体形成に与える影響を検証する実験の設計も開始した。 定例の国際オンラインセミナーの継続に加えて、カリフォルニア大学のJohn Duffy教授など、海外の著名研究者を交えた国際研究集会を2回開催し、国内と国外の研究者の接続およびネットワーク形成に貢献した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
将来の複数期間にわたる予測が今季の価格を決定する「動的美人投票ゲーム」の実験を実施し、その結果をとしてまとめ、ESAのアジア太平洋大会、世界大会、実験金融学会、計算経済学学会等の国際学会等で発表した。また、これらの発表を通じて得られたコメントに基づいて論文を改訂し、Hanaki and Takahashi (2023, ISER DP 1213)として公表すると同時に学術誌に投稿した。現在は査読の結果を待っている状態である。またDiagnostic Expectationモデルを検証するための単純な実験の枠組みを開発し、パイロット実験を実施した。また、最近のAIの発展を鑑み、実験参加者が予測形成にあたり、AIの情報をどれだけ利用するかに関する実験研究も進め、その成果の一部をTse et al., (2024)や、Fu and Hanaki(2024, ISER DP 1233)にまとめて公表した。 定例の国際オンラインセミナーの継続に加えて、国際研究集会を2回開催し、国内と国外の研究者の接続およびネットワーク形成に貢献した。
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今後の研究の推進方策 |
動的美人投票ゲーム実験の結果をまとめた論文は現在学術誌で審査中であり、審査結果に基づいて改訂を進める。Diagnostic Expectationモデルの検証実験は、パイロット実験を終了し、データの分析を行った。現在、パイロット実験から得られた知見に基づき、実験設定に関して若干の修正を行なっているが、次年度に本実験を開始できる状態にあるため、実験を実施し、その成果を国際学会等で発表していく。加えて、近年の急速なAIの発展と利用度合いの広がりが、予測形成にどのような影響を与えるのかに関しても検証を開始しており、この検証も随時発展させていく。 これまで開催してきた定例の国際オンラインセミナーの継続に加えて、国際研究集会も随時開催する。さらに、2025年3月には実験経済学の国際学会であるEconomic Science Associationのアジア太平洋大会を大阪で開催し、国内の研究者と海外の研究者との接続および若手研究者の育成に貢献する。
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