研究課題/領域番号 |
23H00059
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分8:社会学およびその関連分野
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
青山 薫 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (70536581)
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研究分担者 |
LEBAIL Helene 明治学院大学, 国際平和研究所, 研究員 (30817622)
熊田 陽子 国際ファッション専門職大学, 国際ファッション学部, 教授 (60830346)
大野 聖良 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 基幹研究院研究員 (20725915)
村尾 元 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (70273761)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
46,410千円 (直接経費: 35,700千円、間接経費: 10,710千円)
2024年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2023年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
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キーワード | セックスワーク / 人身取引 / 移住・移民 / ネットワーク分析 / 複数経路・等至性モデル / ソシオグラム |
研究開始時の研究の概要 |
国境を越える性取引は、国際社会が廃絶をめざす「現代の奴隷制」と呼ばれる一方、これを労働とし安全に携わる権利を求める当事者も絶えず、学術的・政策的議論を二分している。対して本研究は、二つの事象が分かち難いことを改めて指摘し、その理由を明らかにし、人身取引と移住性労働両方の当事者の経験についての詳細かつ包括的な理解を試みる。そして、どちらの当事者の困難をも改善し、安全と人権を守る対策と支援の構築に資することをめざす。 そのために本研究は、英西仏日蘭の受け入れ国と泰比中ルーマニアの送り出し国において、参与観察および当事者に対する聞き取り調査を行い、データの言説分析およびネットワーク分析を行う。
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研究実績の概要 |
初年度の2023年度は、第一に、ネット上で研究代表者、分担者および対象各地の協力者と打合せを行いつつ、以下の調査を行った。東京渋谷の性風俗店現地調査と聞き取り、東京新宿の街頭現地調査と聞き取り対象者募集、フィリピンマニラ、スペインマドリッド、タイバンコク、ルーマニアブカレストにおける資料収集、英国ロンドン、オランダアムステルダム、フランスパリにおける資料収集と現地調査および協力者との情報交換、そして、機械学習とデータサイエンスの手法を使った、非母国語を利用する際の会話文章の難易度と,発話する際の表情の分析についての研究に関する本研究への応用についての考察、である。 公開性と社会還元の面では、2023年10月に、神戸大学国際文化学研究科において、日本におけるマイノリティ移民の苦境を描いたドキュメンタリー映画『ワタシタチハニンゲンダ』の公開上映会と討論を行った。約140名の参加者を得て盛会だった。2024年2月には、神戸大学移住・移民研究センターとの共催で、国際セミナー『移民・セックスワーク・人身取引:二極化された研究分野における再帰性と方法論』を開催し、本研究の理論と方法論について発表。約30名の移民研究者との議論を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対象各地(中国を除く)で資料収集、現地調査。協力要請を行い、新しい協力者も得られた。また、2024年度以降のイン タビューについて、発話や文章分析への利用が期待される、日本語母語話者と日本語非母語話者についてデータサイエンスの手法を用いた実験を行った。さらに、『ワタシタチハニンゲンダ』公開上映会は、移民とマイノリティの市民権に関する幅広く深い感想が多く得られ、本研究の議論と考察に寄与した。国際セミナー『移民・セックスワーク・人身取引:二極化された研究分野における再帰性と方法論』は、本研究の核心である理論と方法論について内外のコメンテーターから意見を得、公開で討論したことが今後の調査、分析、考察に寄与するものであった。 代表者および分担者個別の研究発表についても、それぞれ充分である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度も各地で現地調査と資料収集、聞き取り相手ほか協力者の募集を続けて行う。とくに対象者へのアクセスが難しいフィリピン調査と日本調査に力を入れる。そのために、適宜全員で打合せをし、年度後半には報告会を開く。代表者は、英国ほかヨーロッパの対象国、タイほかアジアの対象国にそれぞれ9月または来年3月の調査出張を予定している。 ネットワーク分析、会話分析、情報の複数回路分析についても、先行研究等を参照にしつつ本研究の聞き取りと分析に備える。 公開の講演会や上映会・討論会については、年1~2回催し、公開性と社会還元およびフィードバックからの考察を深める機会を得る。
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