研究課題/領域番号 |
23H00111
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分15:素粒子、原子核、宇宙物理学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
安達 俊介 京都大学, 白眉センター, 特定助教 (80835273)
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研究分担者 |
小川 英夫 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 客員教授 (20022717)
長谷川 豊 国立研究開発法人情報通信研究機構, テラヘルツ研究センター, 主任研究員 (70802750)
中島 拓 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 助教 (90570359)
隅田 土詞 京都大学, 理学研究科, 助教 (80624543)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
46,930千円 (直接経費: 36,100千円、間接経費: 10,830千円)
2024年度: 26,650千円 (直接経費: 20,500千円、間接経費: 6,150千円)
2023年度: 12,350千円 (直接経費: 9,500千円、間接経費: 2,850千円)
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キーワード | ダークマター / ミリ波 / 超伝導デバイス |
研究開始時の研究の概要 |
ダークマターは宇宙のエネルギーの1/4をも占める物質であることがわかっているが、いまだにダークマター1個の質量を含む基本的な性質がわかっていない。本研究は、地球上で我々の周りにいるはずのダークマターを、電波の一種であるミリ波を用いた新しい手法で探索し、ダークマターの質量といった性質を解明することを目指す研究である。 従来のダークマター探索では比較的重い質量のダークマター候補が探索されてきたが、いまだにその検出には至っていない。そこで、我々は今まで全く探索されてこなかった超軽量なダークマターを、超伝導デバイス「SISミキサ」を用いた高感度なミリ波受信機を用いて探索する。
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研究実績の概要 |
ダークマターが超微弱なミリ波に転換してそれをミリ波受信機を用いて捉える実験を計画している。ミリ波の周波数は、ダークマターの質量に比例するが、その質量は未知であるため、幅広い周波数での測定が必要である。 ターゲットとしているミリ波の周波数は 170~260 GHz であり、従来の同一手法による実験(10 GHz 前後)に比べて高い周波数帯域となっている。高周波のミリ波を感度よく受信するために、超伝導デバイス「SISミキサ」を用いる計画であり、本年はその1個目の開発、製造から性能評価までを名古屋大学で行った。性能評価には名古屋大学のテスト用クライオスタットを用い、本実験に十分用いることのできる性能を持っていることを確認できた。 また、ダークマター探索専用のミリ波受信機を開発する計画であり、そのための冷凍機の調達とクライオスタットの開発や分光測定装置の開発も行った。京都大学にてクライオスタットの冷却試験まで行い、超伝導デバイスである SIS ミキサーを超伝導温度以下までに十分冷やせる性能を有していることが確認できた。分光測定装置に関して、ミリ波受信機の後段で取得する数 GHzの高周波を4GHz幅という広い帯域で一度に分光測定できる装置を開発し、その技術に関する特許も出願した。 それ以外に、最終的なターゲット周波数より低い 10~18 GHz での探索データの解析も本年度に行い、10~18 GHz でダークマターがいないかを調べた。これについては論文で公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度はSIS ミキサや分光測定装置の開発といった予定していた開発に加えて、予定していなかったクライオスタットの開発や、低周波数帯(10--18 GHz) でのダークマター探索の結果の公表まで行うことができたので、順調に進んでいると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後はミリ波受信機に関しては、内部の特にSISミキサ周りの高周波回路を開発する。受信機内部でアンテナからの光の偏光成分を縦と横に分離するOMT、周波数を分離するための周波数分離フィルタを開発していく。さらに、ダークマターから生じるミリ波信号を集光するミラーの開発も進めていく。それに合わせたミリ波受信機内部のアンテナの設計も並行して行う。 また、今まで並行して進めていたプロトタイプ受信機でのダークマター探索実験も完了させる計画である。本番機に使う予定のSISミキサをプロトタイプ機に搭載することで、いますぐにプロトタイプ受信機を動作させることが可能である。その受信機の性能評価を行い、すぐにダークマターの探索に進める予定である。測定可能な周波数の帯域が本番機に比べて狭いが、他の実験からくる制限を凌ぐ感度で探索できる見込みである。プロトタイプ受信機での測定とダークマターの信号が無いかの解析は、今年度中に完了し学術論文として公表する計画である。
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