研究課題/領域番号 |
23H00133
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分16:天文学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
河原 創 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (90649758)
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研究分担者 |
小谷 隆行 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(機構直轄研究施設), アストロバイオロジーセンター, 准教授 (40554291)
和田 武彦 国立天文台, JASMINEプロジェクト, 准教授 (50312202)
片坐 宏一 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (70242097)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
46,540千円 (直接経費: 35,800千円、間接経費: 10,740千円)
2024年度: 16,250千円 (直接経費: 12,500千円、間接経費: 3,750千円)
2023年度: 14,040千円 (直接経費: 10,800千円、間接経費: 3,240千円)
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キーワード | 系外惑星 / 長周期惑星 / 惑星形成論 / 超小型衛星 / 大フォーマット検出器 / トランジット系外惑星 |
研究開始時の研究の概要 |
21世紀初頭の系外惑星探査は短周期惑星に偏っており、太陽系惑星のような長周期惑星系の普遍性を調べる困難がある。本研究では、地球近傍トランジット惑星の検出を目指し、マルチジェネレーション超小型衛星の新ミッションコンセプトの実現性を、とくにカメラ部分に関して調べ、実証する。これにより低コスト・高頻度打ち上げが可能な超小型衛星で宇宙からの長期モニタリングを実現できるか明らかにする。ミッション部をコストに適した科学探査に耐えるよう開発し、太陽系惑星のような長周期系外惑星系探査の実現性を実証することを目指す。
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研究実績の概要 |
21世紀初頭までに系外惑星の探査は飛躍的に進み, 人類古くからの問い「我々の住む太陽系は普遍的なのか?それとも特殊なのか?」に科学的に答えられる可能性が出てきた.しかし, それでも現在の系外惑星サンプルは太陽系には存在しない短周期惑星に偏っている.そのため太陽系のような長周期の惑星系が宇宙において普遍的かどうかを調べるには困難が伴う.太陽系の普遍性・特殊性を系外惑星の観点から明らかにするために, 太陽系惑星でいうところの地球・火星・木星・土星の位置に存在する惑星(公転周期1年から最大30年)を, 惑星密度・大気を調査可能な地球近傍トランジット惑星として検出したい. 本研究では, そのためにマルチジェネレーション超小型衛星という新しい形の宇宙ミッションコンセプトの実現性を示すことを目標としている。本研究ではマルチジェネレーション超小型衛星の多ピクセル(大フォーマット)可視検出器系開発を目的としている。 本年度は、これまで想定していた可視検出器より、入手性・経済性に優れたCMOSセンサーの候補の導入に成功した。このCMOSセンサは国内メーカのものであり、マルチジェネレーション超小型衛星に必要な画素数 4000 x 4000 と検出器サイズ6 cm x 6cmの要求を両方とも満たすものである(これを超えている)。またfull wellも十分満たしていることを確認した。次のステップはピクセル間感度ムラ測定と暗電流測定である。暗電流については文献値が存在し、要求を満たしているものの、自分たちでも測定できるように、またパーシステンス等の他の測定も可能になるように、冷却システムを導入した。具体的には液体窒素冷却のできる中型チャンバーシステムを構築した。これは大フォーマットの検出器を入れるのに十分なサイズである。これにより次年度の測定へと実験環境が整いつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
主要な理由として挙げられるのは、大フォーマットのCMOS検出器の入手性に関する初期の難問を克服し、実験用のテストチップを用いた実験系を構築できた点です。このプロジェクトは、太陽系のような長周期惑星系の普遍性を探るため、高性能で経済的な検出器の開発が欠かせません。そのため、我々は新しいCMOSセンサーを用いることで、高解像度と広い観測範囲を同時に実現することを目指していました。このCMOSセンサーは国内メーカー製で、画素数4000 x 4000、検出器サイズ6cm x 6cmの要求を満たすだけでなく、それを超える性能を持っているため、この目標に向けた大きな一歩となりました。 さらに、我々は冷却システムの導入も進めました。液体窒素を使用した中型チャンバーシステムの構築により、検出器の温度管理が可能となり、長時間の観測におけるデータの安定性と信頼性を大きく改善しました。これにより、太陽系外の長周期惑星を探索するための実験環境が整いつつあり、次年度の測定に向けた準備が進行中です。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、まずピクセル感度ムラの測定を行いたい。これはマルチジェネレーション超小型衛星の目的である精密測光が可能かどうかの肝となる性質であるためである。そのために積分球等を用いたフラット光源光学系を構築し、テストチップのピクセル感度ムラ測定を行う。ただし、現在のところテストチップの読み出しにまだ成功しておらず、先にその部分をメーカーとコンタクトをとりながら行う。 さらにパーシステンス測定も重要な項目であるので、これに向けた準備を行う。パーシステンス測定、暗電流測定は真空チャンバー中での駆動が必要となる。そのためにはチャンバー中に検出器とエレキを導入するための真空化対応を検討する。これらが完了して初めて検出器系を冷却することができるためである。 またエレキ系の検討を開始したい。これは検出器の候補が定まったことにより初めて開始できる項目であり、宇宙応用を見据えた開発としたいと考えている。 また本年度はTESSデータによる測光解析にも再び着手しなおしたいと考えている。TESSデータは、申請者が以前、研究で使っていたが、その当時は1年程度のデータしかなかったが、現在はマルチジェネレーション超小型衛星で得られるデータに相当する長さとなっているため、これを解析することでマルチジェネレーション超小型衛星でどのようなデータ解析が必要か洗い出したいと考えている。
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