研究課題/領域番号 |
23H00135
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
堀内 一穂 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (00344614)
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研究分担者 |
宮原 ひろ子 武蔵野美術大学, 造形学部, 教授 (00532681)
三宅 芙沙 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 准教授 (90738569)
川村 賢二 国立極地研究所, 先端研究推進系, 教授 (90431478)
大藪 幾美 国立極地研究所, 共同研究推進系, 助教 (20758396)
山崎 俊嗣 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (80344125)
小田 啓邦 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 上級主任研究員 (90356725)
笹 公和 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (20312796)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
47,060千円 (直接経費: 36,200千円、間接経費: 10,860千円)
2024年度: 12,740千円 (直接経費: 9,800千円、間接経費: 2,940千円)
2023年度: 15,080千円 (直接経費: 11,600千円、間接経費: 3,480千円)
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キーワード | 宇宙線生成核種 / 太陽活動 / 地磁気変動 / 宇宙線イベント / 環境変動 / アイスコア / 堆積物 / 年輪 |
研究開始時の研究の概要 |
太陽地磁気変動や宇宙線イベントなどに由来する宇宙・地球現象は、地球惑星科学の主要な研究対象の一つであり、近年では災害科学の観点からも注目されている。しかし、地質時代のそれを知る手段は相当に限られる。本研究では、宇宙線と大気との相互作用により生成する宇宙線生成核種を様々な時空間スケールで戦略的に分析することで、過去400万年間の宇宙・地球現象を、連続的もしくは注目する区間で集中的に解明する。またその応用として、アイスコア・堆積物・年輪などの古環境アーカイブから獲得される宇宙線生成核種記録の層序学的利用を推進させるとともに、環境トレーサー・プロキシとしての宇宙線生成核種の利用も開拓する。
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研究実績の概要 |
東太平洋赤道域のIODP Site U1335にて掘削されたコア試料について、80万年前から185万年前の1万年解像度ベリリウム同位体記録を獲得し、この時代に頻発した地磁気逆転やエクスカーションに伴うベリリウム10の増大を検出した。また、南極ドームふじアイスコアを対象に、酸素同位体ステージ7の百年解像度ベリリウム10分析を開始するとともに、年代モデル向上のための気体分析を行った。さらに、西太平洋やインド洋の海底堆積物を対象に、過去数十万年間の散点的なベリリウム同位体分析を行った。 最終間氷期(約13万年前)のドームふじアイスコアを対象に、年解像度のベリリウム10分析を約百年間行った結果、シュワーベ周期に対応する明瞭な周期性が見出された。また、19万年前の地磁気極小期にて既に得られている500年分の約2年解像度のベリリウム10データに関して、時系列解析を進めた。これらは地質時代の太陽活動を解明するための貴重なデータであり、特に前者について今後さらに期間を拡張して分析を継続する予定である。 完新世の宇宙線イベントや太陽活動に関して、アイスコアやトラバーチンを対象に、季節から単年解像度のベリリウム10分析を行い、年輪炭素14分析の結果とともに解析を進めた。具体的には、南北両極沿岸アイスコアや内陸トレンチ試料のベリリウム10分析を行った。また19世紀の宇宙線イベントを対象にした年輪炭素14分析結果の公表や、グリーンランド南東ドームアイスコアの詳細年代の公表により、今後行われる19世紀のベリリウム10詳細分析に備えた。さらに、1510年から1701年のトラバーチン単年ベリリウム10記録を公表した。 以上の結果に基づいて、古地磁気強度変動を加味しながら、得られた記録間の宇宙線変動対比を行った。また、宇宙線変動と気候環境との関係を考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本事業は大きく分けて、(1)過去400万年間を単独で網羅する1万年解像度のベリリウム10記録の獲得、(2)過去数十万年間を網羅する複数の百年解像度ベリリウム10記録の獲得、(3)既知および新たに発見された宇宙線イベントを対象にした季節から単年解像度の宇宙線生成核種記録の獲得、(4)上記記録間の同期・比較・解析と地質時代の太陽地磁気変動史や宇宙線イベントの同定・解明、(5)宇宙線変動記録の精密化と新たな古環境プロキシの開拓を目標としている。記録の獲得(1-3)はぼぼ計画通りに進んでおり、応用(4-5)への取り組みも始まっていることから、計画はおおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
計画の遂行に大きな問題は生じていないことから、当初の計画通り課題を推進する予定である。
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