研究課題/領域番号 |
23H00145
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
河上 哲生 京都大学, 理学研究科, 教授 (70415777)
|
研究分担者 |
平田 岳史 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (10251612)
坂田 周平 東京大学, 地震研究所, 助教 (20772255)
東野 文子 京都大学, 理学研究科, 助教 (60816685)
中嶋 徹 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 核燃料・バックエンド研究開発部門 東濃地科学センター, 研究職 (60912558)
中野 伸彦 九州大学, 比較社会文化研究院, 准教授 (20452790)
足立 達朗 九州大学, 比較社会文化研究院, 助教 (00582652)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
47,060千円 (直接経費: 36,200千円、間接経費: 10,860千円)
2024年度: 11,440千円 (直接経費: 8,800千円、間接経費: 2,640千円)
2023年度: 13,520千円 (直接経費: 10,400千円、間接経費: 3,120千円)
|
キーワード | 大陸衝突帯 / 沈み込み帯 / 微小ジルコン年代測定 / ペトロクロノロジー / フィッション・トラック年代測定 / フィッション・トラック年代 / 地殻流体 / 部分融解 / 変成岩 / 花崗岩 |
研究開始時の研究の概要 |
数ミクロン径の「その場ジルコン年代測定」を開発し、温度-圧力-変形-部分融解-流体活動履歴を制約したプレート収斂域試料に適用する。これにより多数の年代制約を同履歴に与えることができるため、プレート収斂域の岩石が深部へ沈み込んだ後、中深度へ上昇する間の岩石上昇速度を、高精度で決定できる。さらに低温・浅部をカバーする年代測定法を同一試料へ適用し、より浅所に露出するまでの一連のプロセスを解読する。こうして得られる情報を境界条件とした3Dテクトニックモデルを構築する。以上により大山脈が大陸衝突帯に形成される条件を理解し、地殻深部過程と表層での大山脈形成による環境変動とを結び付ける新展開を目指す。
|
研究実績の概要 |
数μmのレーザー径でのLA-ICP-MS U-Pbジルコン年代測定の立ち上げを、標準試料(Plesoviceジルコン)を用いて行った。フェムト秒レーザーとICP-Q-MSを組み合わせたシステムで分析条件の精査を行い、当該レーザーでは10ショットのレーザー照射が最適であることを決定した後、Plesoviceジルコンの分析を4μm四方の領域で行い、相対誤差10%程度で、標準試料の推奨値と整合的な値を得た。 ネパール・ヒマラヤでは、現地地質調査を行い、従来当研究グループが所持している岩石試料に比して構造的上位の試料の記載と採取に成功し、その岩石学的記載を進めた。また並列処理に優れたコンピュータを導入し、フィッション・トラック年代の逆解析および3Dテクトニックモデル計算を従来比約20分の1の時間で実施できるようになった。新規試料からのデータを解析し、Nakajima et al. (2022)と整合的な結果を得た。 南極試料については、セール・ロンダーネ山地メーフィエルの変成岩類の温度-圧力-時間履歴解析を進め、時計回りの温度-圧力履歴の一部を構築した。モナズ石のEPMA U-Th-Pb年代の決定を行い、複数の年代値ピークを得た。また、ブラットニーパネ小指尾根西側の試料から2段階のザクロ石成長時期を見出した。これにより、同山地形成において、複変成の可能性も検討する必要性が再確認された。バークマンズカンペンの試料の温度-圧力-時間履歴解析も進めた。 近畿地方の領家帯花崗岩試料について、従来U-Pbジルコン年代が不明であった岩体の年代を決定した。その結果、付近の領家変成岩類より古い花崗岩類の存在が明らかとなった。 三波川帯の岩石-含ホウ素流体相互作用を記録した塩基性岩試料の解析を進め、三波川帯主帯の変成ピーク相当の深度で岩石-含ホウ素流体反応が生じていたことを明らかにし、論文化を進めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
数μmのレーザー径でのU-Pbジルコン年代測定の立ち上げ作業は順調に進んでおり、問題点の把握もできてきている。数μm径のジルコン年代測定が立ち上がった際に、温度-圧力-時間-部分融解-流体活動履歴を編む試料の解析も、ヒマラヤ、南極、領家帯試料のいずれも順調に進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
数μmのレーザー径でのLA-ICP-MS U-Pbジルコン年代測定の立ち上げを引き続き継続し、低U濃度のジルコンであっても幅の狭い成長領域の年代を測定できる技術開発を進める。また引き続き、微小スポット径でなくともU-Pbジルコン年代測定が適用可能な試料について、ネパール・ヒマラヤ、南極試料、領家帯試料などの年代測定を進め、微小スポット年代測定立ち上げによるデータが得られたのちに、速やかに論文化できるようにデータセットの充実をはかる。ネパール・ヒマラヤ試料については高温かつ深部領域のP-T-t履歴がうまく決まる試料について、フィッション・トラック法を適用し、低温かつ浅部領域の履歴を読み取る。これが完了した試料のデータを用いて、3Dテクトニックモデル計算を進める。領家帯については必要に応じて野外調査と試料採取を進める。
|