研究課題/領域番号 |
23H00167
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分20:機械力学、ロボティクスおよびその関連分野
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
丸尾 昭二 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (00314047)
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研究分担者 |
向井 理 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 特任教員(助教) (10549851)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
47,060千円 (直接経費: 36,200千円、間接経費: 10,860千円)
2024年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 16,250千円 (直接経費: 12,500千円、間接経費: 3,750千円)
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キーワード | マイクロ光造形 / 3Dプリンティング / 4Dプリンティング / マイクロロボット / ハイドロゲル |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、再生医療や人工授精の高度化に向けて、マイクロ光造形技術を発展させて、マイクロ4Dプリンティング技術を確立し、「4Dプリンテッド・マイクロロボット」を開発する。4Dプリンティングとは、光や磁場、熱などによって変形・駆動できる3D構造体を作製する技術である。本研究では、より高精度かつ高度な駆動に適した光加熱によって変形する温度応答性ハイドロゲルを開発し、高機能なソフトマイクロロボットや液中を自在に駆動するマイクロロボットなどを開発する。さらに、これらのマイクロロボット群を用いて、再生医療や人工授精を支援するマイクロロボット・医療プラットフォームの構築を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、再生医療や人工授精の高度化・自動化を目的として、独自開発のマイクロ光造形法を発展させて、「マイクロ4Dプリンティング技術」を確立し、さまざまなソフトマイクロロボット群を創製することを目指している。4Dプリンティングとは、熱や光、磁場などによって変形可能な刺激応答性材料を用いて3D構造体を作製する技術である。今年度は、細胞培養環境下で光加熱によって収縮する温度応答性ハイドロゲルを作製し、マイクロ光造形法によって光ファイバー先端にソフトマイクロピンセットを作製した。そして、光ファイバーから出射されるレーザー光によってピンセットの開閉動作を行い、スフェロイドの把持操作を実証した。また、ピンセット形状の最適化に向けて、マルチフィジックス解析によって光加熱によるピンセットの動作解析も行い、実験結果と類似の動作を確認した。さらに、複数のスフェロイドを同時に把持・刺激を行うためのマイクロロボット細胞培養プラットフォームの構築に向けて、4つのマイクロピンセットをアレイ化した基板を作製し、レーザー光を高速走査させることで、複数のマイクロピンセットを複数同時に開閉動作させることにも成功した。また、このピンセットアレイを用いて複数のスフェロイドを同時に把持できることも実証した。今後、光熱駆動型ハイドロゲルを用いた高精度なマイクロピンセットの実現に向けた形状最適化に取り組むとともに、より多くのピンセットを同時に駆動制御するための光制御プラットフォームを構築する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で開発を目指している再生医療や人工授精の高度化・自動化に役立つソフトマイクロロボット・プラットフォームの実現に向けて、細胞培養環境下で動作が可能な光加熱型ハイドロゲルで作製した柔軟なマイクロピンセットを用いて、スフェロイドを把持できることを実証できた。さらに、複数のマイクロピンセットをアレイ化したプラットフォームを試作し、レーザー光の高速走査による同時駆動を実証し、複数のスフェロイドを同時に把持できることも確認できた。また、より高度なマイクロピンセットの開発に向けて、マルチフィジックス解析による動作解析も進めている。以上のことから、本研究は概ね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までに開発した光熱駆動型ハイドロゲルを用いたソフトマイクロピンセットの開発において、これまで使用してきた青色レーザーによる1光子マイクロ光造形法に加えて、フェムト秒レーザーを用いた2光子マイクロ光造形法を用いてピンセットの造形を行う。2光子マイクロ光造形法は、2光子吸収を用いた光硬化反応の非線形性によってサブミクロン分解能を達成できる超高精細3Dプリント技術であり、形状最適化したマイクロピンセットを高精度に造形する用途に適している。また、これまでに作製したピンセットは、光加熱時にピンセットが閉じる構造であったため、対象物体を把持するためにレーザー光を常に照射する必要があった。このため、長時間のレーザー照射によって細胞に対してダメージを与える可能性があった。そこで、今後は、光照射時にピンセットが開く構造を新たに設計・試作する。さらに、ピンセットの高速かつ高度な動作制御やマイクロピンセット・アレイの同時駆動を実現するために、空間光変調によって2次元光パターンを形成する光制御システムを構築する。そして、構築した光制御システムを用いてピンセット・アレイの同時駆動と複数のスフェロイドの把持・操作を実証する。
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