研究課題/領域番号 |
23H00172
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分21:電気電子工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
竹中 充 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (20451792)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
46,930千円 (直接経費: 36,100千円、間接経費: 10,830千円)
2024年度: 11,440千円 (直接経費: 8,800千円、間接経費: 2,640千円)
2023年度: 12,610千円 (直接経費: 9,700千円、間接経費: 2,910千円)
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キーワード | 光集積回路 / III-V族半導体 / 量子井戸混合 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、研究代表者が独自に提案・研究を進めてきたIII-V CMOSフォトニクス・プラットフォーム上において、量子井戸混合を用いた能動・受動光素子集積技術の基盤構築を目指す。III-V族半導体薄膜内における量子井戸混合の物理機構の解明・制御技術確立および量子井戸混合や窒化シリコン膜を用いた光閉じ込め構造の探求を進める。これにより、3つ以上のバンドギャップを持つ量子井戸層を同一基板上に形成し、レーザー/受光器・光変調器・各種受動光導波路を集積可能とすることで、高効率・高速な次世代光通信用光集積回路プラットフォームを構築する。
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研究実績の概要 |
III-V族半導体薄膜中における量子井戸混合を用いたバンドギャップ制御の研究を進めた。熱酸化シリコン基板およびInPエピ基板をプラズマ処理により表面活性化した後、貼り合わせ、InP基板を選択エッチングすることで、InGaAsP多重量子井戸層を含むIII-V族半導体薄膜基板を作製した。III-V族半導体薄膜基板の上部InPクラッド層に対してリン分子イオンを注入し、リン欠陥を形成する。その後、加熱処理によりリン欠陥が量子井戸層に拡散することで、量子井戸混合が起きる。これまでの研究により、薄膜中では量子井戸混合によるバンドギャップシフトが小さくなる傾向があることが分かっている。この物理機構を明らかにするための研究を進めた。具体的には、量子井戸層の下にあるInPクラッド層の膜厚をパラメタとして量子混合の実験を進めた。この結果、下部InPクラッドの膜厚が薄くなるほどバンドギャップシフトが小さくなることを明らかにした。これは、熱酸化シリコン基板との貼り合わせ界面と量子井戸層間の距離が量子井戸混合に影響を与えることを示す実験結果である。貼り合わせ界面で格子間リン原子が蓄積することで、再度量子井戸層に拡散する結果、リン欠陥密度が減少し量子井戸混合が阻害される可能性が示唆される結果となり、III-V族半導体薄膜中の量子井戸混合の物理機構の一部を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
III-V族半導体薄膜中における量子井戸混合に影響を与えるパラメタの一部を明らかにしたことで、量子井戸混合の物理機構の解明に一歩近づく成果を挙げた。また、量子井戸混合によるバンドギャップシフト量の拡大につながる成果であり、能動素子と受動素子の集積化に向けて前進する成果が得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
III-V族半導体薄膜中における量子井戸混合の物理機構の解明に向けた実験を更に進める。量子井戸混合に影響を与えるパラメタを引き続き明らかにする研究を進める。また、分光エリプソメトリを用いて屈折率などを評価することで、導波路としての応用可能性も検討を進める。 また、ショットキー接合を用いた光変調器・受光器などの研究も進めることで、能動光デバイス集積化に向けた検討を開始する。
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