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スピンエラストロニクス

研究課題

研究課題/領域番号 23H00183
研究種目

基盤研究(A)

配分区分補助金
応募区分一般
審査区分 中区分21:電気電子工学およびその関連分野
研究機関大阪大学

研究代表者

千葉 大地  大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (10505241)

研究分担者 只野 央将  国立研究開発法人物質・材料研究機構, 磁性・スピントロニクス材料研究センター, グループリーダー (90760653)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2025年度)
配分額 *注記
47,710千円 (直接経費: 36,700千円、間接経費: 11,010千円)
2025年度: 13,130千円 (直接経費: 10,100千円、間接経費: 3,030千円)
2024年度: 12,480千円 (直接経費: 9,600千円、間接経費: 2,880千円)
2023年度: 22,100千円 (直接経費: 17,000千円、間接経費: 5,100千円)
キーワード磁気弾性効果 / スピンエラストロニクス / フレキシブルスピントロニクス / フレキシブルエレクトロニクス / ひずみセンサ
研究開始時の研究の概要

磁気記録の高度化に主軸をおくスピントロニクスが活用してきた3d遷移金属強磁性体を主体としたスピン材料の用途を広げ、応用範囲にパラダイムチェンジを引き起こせないだろうか。本研究は、スピン材料からなるナノ薄膜のエラスティックな性質を活用することで、この命題に応える。本研究ではエラストスピンデバイスの具体的優位性を示し、『スピンエラストロニクス』の土俵を拓く。さらには、従来の磁気弾性効果の枠を超えるエラストスピン現象に実験的、理論的に迫る。

研究実績の概要

MRAMなどで用いらている、CoFeB/MgO系の超薄膜積層構造をフレキシブル基材上に製膜し、ひずみによりその垂直磁気異方性を制御することに成功した。また、3d遷移金属磁性元素をベースとした磁性超薄膜の積層構造をフレキシブル基材を引っ張りながら製膜し、引張応力を開放することで、製膜した超薄膜ビルトインひずみを与えることに成功した。これにより、二層の磁性層の磁化配列が初期状態で90度の角度を成している磁気抵抗素子の実証に成功した。ビルトインひずみを有する磁性薄膜のキュリー温度が、ひずみを有さない膜と異なるかどうかについても、実験的検証を進めた。
技術的には、世界最高感度を有する、スピントロニクス技術を用いたひずみゲージの改良を進め、力学センサへの実装を進めた。
背景学理の理解については、第一原理計算を用いて44の単元素固体に対して応力ひずみ曲線を網羅計算し、FCC構造は110方向、BCC構造は100方向が引張りに対して最も弱いこと、引張強さが大きい程最大ひずみ量が小さい傾向があることを示した。引張強さの元素依存性は第一原理計算で定量化した共有結合性から定量的に理解できることを明らかにした。また、フォノン分散やマグノン分散から構造や磁性の安定性を評価する計算コードの整備を行った。同手法をBCC鉄へ適用したところ、マグノン分散は110、111面方向に引張ひずみを与えてもほぼ変化しない一方、100面方向に引っ張るとソフト化し、15%程度のひずみで不安定化するという結果が得られた。また、マグノンの変化と連動してキュリー温度のひずみ依存性にも顕著な面方位依存性が存在することを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り、エラストスピンデバイスの力学センサへの実装を着実に進め、エラストスピンデバイスの優位性の実証に向けた研究開発を進めて。また、CoFeB/MgO系の超薄膜において、界面垂直磁気異方性の制御に成功している。また、エラスト磁気秩序変換機能を開拓するため、キュリー温度のひずみによる変化の検証を着実に進めている。理論的には、さまざまな面方位のひずみに対するフォノン分散やマグノン分散の応答を定量的に評価するための第一原理計算コードを開発した。フォノン分散はALAMODEとVASPを利用しており、単位胞に300原子程度までであれば手持ちの計算資源で効率的に計算出来ることを確認した。マグノン分散の計算コードは新規に作成した。マグノン分散の計算に必要な磁性元素間の交換結合定数Jijは、OpenMXコードに実装されているリヒテンシュタイン法を用いて評価し、さらに結晶の対称性を利用することでJij計算を効率化した。開発したコードによって、マグノン分散のひずみに対する依存性を定量評価できる事を確認した。

今後の研究の推進方策

力学センサへの実装はその用途やニーズも明確になってきているため、社会実装第一弾を目指してスケジュール感を検討していく。
実験的な学理構築については、残りの2年で当初計画を着実に遂行していく。
理論的な学理構築については、開発したフォノン・マグノン計算コードを、低次元系を含むより多くの材料へ適用し、構造や磁性が不安定になるひずみ量の元素(電子軌道)・次元性・面方位依存性を系統的に評価し、電子論に基づきそれらの起源を解明する。その結果をもとに、弾性ひずみによる磁性・非磁性転移の可能性を検討する。さらに、磁性/非磁性界面などのヘテロ構造を露わに考えた理論計算を実施し、磁気異方性やトンネル磁気抵抗などの輸送係数のひずみ依存性に対しても電子論的な理解を目指す。

報告書

(2件)
  • 2023 審査結果の所見   実績報告書
  • 研究成果

    (10件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件、 招待講演 4件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Modulation of perpendicular magnetic anisotropy in CoFeB/MgO structure by an application of biaxial tensile strain2023

    • 著者名/発表者名
      Gokita Takeaki、Nagira Ryota、Torii Taiga、Koyama Tomohiro、Chiba Daichi
    • 雑誌名

      Applied Physics Express

      巻: 16 号: 6 ページ: 063001-063001

    • DOI

      10.35848/1882-0786/acdb2b

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Mechanical sensing using spintronics devices2024

    • 著者名/発表者名
      D.Chiba
    • 学会等名
      第27回 半導体におけるスピン工学の基礎と応用(PASPS27)
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 磁気デバイスの新たな可能性2024

    • 著者名/発表者名
      千葉大地
    • 学会等名
      【大学発シーズ紹介】ビジネス委員会オープンイノベーションWG
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Mechanical motion detection by spintronics2023

    • 著者名/発表者名
      D.Chiba
    • 学会等名
      36th International Microprocesses and Nanotechnology Conference (MNC 2023)
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] ビルトインひずみにより誘起された磁気異方性を有するフレキシブルGMR 素子2023

    • 著者名/発表者名
      森田利明、千葉大地、小山知弘
    • 学会等名
      第71回応用物理学会春季学術講演会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] Modulatin of perpendicular magnetic anisotropy in CoFeB/MgO structure by applying tensile strain2023

    • 著者名/発表者名
      T. Gokita, R. Nagira, T. Torii, T. Koyama, and D. Chiba
    • 学会等名
      13th Joint European Magnetic Symposium
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 磁気センシングの新たな可能性2023

    • 著者名/発表者名
      千葉大地
    • 学会等名
      第84応用物理学会秋季学術講演会ランチョンセミナー
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] スピン力学センサの社会実装戦略2023

    • 著者名/発表者名
      千葉大地
    • 学会等名
      第1回ナノエラストロニクス・ワークショップ
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [備考] 大阪大学産業科学研究所・千葉研究室

    • URL

      https://www.sanken.osaka-u.ac.jp/labs/se/

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [産業財産権] 薄膜デバイスおよび薄膜デバイスの製造方法2024

    • 発明者名
      千葉大地、森田利明
    • 権利者名
      千葉大地、森田利明
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      2024-032465
    • 出願年月日
      2024
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2025-06-20  

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