研究課題/領域番号 |
23H00197
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分22:土木工学およびその関連分野
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
谷本 圭志 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (20304199)
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研究分担者 |
神谷 大介 琉球大学, 工学部, 准教授 (30363659)
長曽我部 まどか 鳥取大学, 工学研究科, 准教授 (50757268)
岸 邦宏 北海道大学, 工学研究院, 教授 (60312386)
桑野 将司 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (70432680)
橋本 成仁 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (80291318)
榊原 弘之 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (90304493)
力石 真 広島大学, 先進理工系科学研究科(国), 教授 (90585845)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
46,800千円 (直接経費: 36,000千円、間接経費: 10,800千円)
2024年度: 13,650千円 (直接経費: 10,500千円、間接経費: 3,150千円)
2023年度: 19,500千円 (直接経費: 15,000千円、間接経費: 4,500千円)
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キーワード | 公共交通 / 過疎地域 / ビジネスモデル |
研究開始時の研究の概要 |
過疎地域における公共交通サービスの持続可能性を高めるためには,旅客運送サービスに様々なサービスを統合したビジネスモデルの確立が有効な戦略である.本研究では,ビジネスモデルの体系,統合の効果,統合の実行可能性を明らかにするという三つの課題に焦点を当てて,実証的な分析と理論・数理モデルの構築を同時並行的に行うことで,一般性,実用性の高い成果の蓄積を目指す.その際,全国にわたる研究者ならびに先行的な実践プロジェクトと密に連携する体制を構築し,それぞれの地域における大規模な調査とそこで得られるデータを活用しながら,統合の社会実装を支援するための計画論の確立を目指す.
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研究実績の概要 |
統合的ビジネスモデルを導入している地域を対象に,組織や運営の実態,導入のプロセスなどを全国的に調査した.具体的には,国土交通省の地域交通共創モデル実証プロジェクトにおいて対象とする事例が多くあると見込んで調査を行った.しかし,統合という考え方に基づく事例は僅かであることが判明した.一方で,ちょいそこや宮崎県西米良村の貨客混載などでは統合によるビジネスモデルを実現しており,これらが全国的には先進的な事例であることが分かった.これらについてはヒアリング調査を行い,その要点をまとめた.今後も,事例の収集は継続する. 組織の持続可能性を扱う両利きの経営理論(知の探索/深化理論)やダイナミック・ケイパビリティ理論などに着目し,統合的ビジネスモデルの理論的な基礎や意義をこれらのフレームに基づいて明確化し,統合的ビジネスモデルの要件を学術論文としてとりまとめた.また,この内容はいくつかの招待講演で披露し,その周知に努めた. 統合した場合には自ずと多入力・多出力の生産活動になることに着目し,包絡分析法に着目してその適用可能性を検討した.包絡分析法が評価対象の強みにのみ着目するため,弱みを含めたバランスのよい評価ができないことが課題となる.そこで,強みを評価する一般のDEA,弱みを評価するIADEを併用することが有効であることが分かった.これ以上の検討は不要である可能性もあるが,引き続き情報収集をし,さらなる検討の必要性を見定める. 従来に開発した車両の運行を再現する数理計画モデルを修正した.具体的には,乗合を想定した場合や運転手数を最小化するモデル,共助交通のように運転手が時空間的に分散している場合などがある.従来のモデルを含めて,これらのモデルについては学会で研究発表を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全国的に事例を収集することはできたが,統合的なアプローチに基づく新たな事例を見出すことはできなかった.このため,事例の収集は継続する必要がある.一方,先進的な事例を特定することはできた.また,これらの事例については直接現地に赴き,地域を視察するとともにヒアリング調査を行うことができたため,今後はそれらの事例を中心に整理を行いたい.組織の持続可能性を扱う両利きの経営理論(知の探索/深化理論)やダイナミック・ケイパビリティ理論に基づいて統合的ビジネスモデルの理論的な基礎や意義をこれらのフレームに基づいて明確化することについては順調に進捗し,研究分担者とも問題意識を共有するとともに,学術論文としてとりまとめ,登載決定の段階に至ったことは大きな成果である.また,その内容についてはいくつかの招待講演で公開することができ,問題意識を広く一般に周知することもできた.モデルの開発については順調であるが,包絡分析法については新たに拡張するよりは,いくつかのアプローチを組み合わせて足る可能性があることが分かった.統合に伴う需要や供給面への影響については,共助交通との統合という文脈では着手することができたが,それ以外については今後の予定である.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,統合的ビジネスモデルを導入している地域を対象として,組織や運営の実態,導入のプロセスなどを全国的に調査する.その際,先進的な事例についてはヒアリング調査を行い,質の高い情報の獲得を目指す. 統計学,機械学習,行動分析に基づいて複数のサービスの存在やそれらの需要の相互的な関係を組み込んだ様々な数理モデルを作成し,統合に伴う利益や顧客の確保への影響を明らかにする. 統合した場合には自ずと多入力・多出力の生産活動になることに着目し,包絡分析法における通常のDEAとIDEAを組み合わせるアプローチの適用性を検討する. 共助的な地域組織では担い手の発掘や継承が重要な課題であることから,統合がこの点に及ぼす影響を明らかにする.また,統合によって事業者が得られる利点を定量的に評価できるモデルやそのモデルを用いた実証分析を行う. 混合整数計画法で大量のシナリオを発生させ,その結果を教師データとして機械学習や統計モデルで実行可能性を学習させるというアプローチを開発する.
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