研究課題/領域番号 |
23H00214
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分25:社会システム工学、安全工学、防災工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
小竹 元基 東京工業大学, 工学院, 教授 (10345085)
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研究分担者 |
合田 美子 熊本大学, 半導体・デジタル研究教育機構, 准教授 (00433706)
吉武 宏 東京工業大学, 工学院, 特任准教授 (00850710)
郭 鐘聲 拓殖大学, 工学部, 准教授 (20826078)
佐藤 稔久 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究チーム長 (30415781)
戸田 真志 熊本大学, 半導体・デジタル研究教育機構, 教授 (40336417)
下坂 正倫 東京工業大学, 情報理工学院, 准教授 (40431796)
山崎 彬人 名城大学, 理工学部, 助教 (70725944)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
47,060千円 (直接経費: 36,200千円、間接経費: 10,860千円)
2024年度: 14,950千円 (直接経費: 11,500千円、間接経費: 3,450千円)
2023年度: 19,630千円 (直接経費: 15,100千円、間接経費: 4,530千円)
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キーワード | ヒューマンエラー / 高齢者 / 行動変容 / インタフェース / 教育方法 |
研究開始時の研究の概要 |
高齢者の生活移動におけるヒューマンエラーと,そのエラーを高齢者自ら主体的に改善するインストラクションデザインに着目する.交通環境の多様性から体系的な解決が見いだせていない無信号交差点に注目し,工学的視点と教育学的視点に基づき高齢者の不安全性の高い運転行動を補完するための支援方策・教育方法を考案する.具体的には,加齢と不安全な行動に至るメカニズムと自らの能力で改善できる要素を解明すると共に,多様な環境で実現するための要素の抽出技術の開発と行動変容へ無関心な高齢者に対する支援方策と教育手法の導出,安全な行動を維持できる状態に導くHMIの有効性を実証的に評価する.
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研究実績の概要 |
本研究では,高齢者事故の多い無信号交差点進入に着目し,工学的視点と教育学的視点に基づいて,加齢と不安全な行動に至るメカニズムと自らの能力で改善できる要素を解明し,高齢者の不安全な行動を変容させるための特性を把握する.その上で,それらの特性に基づく支援方策・情報に対する過信でもなく,不信でもない「適切」な信頼状態に較正し,高齢者自ら主体的な行動変容を促すHMIを構築することを目的とする.その目的を達成するため,既存論文の整理を行い,以下に示す研究の成果をえた. ・加齢による認知機能の変化がどのような運転行動の変化につながるかを検討するため, 220名の高齢ドライバの7年間の経年変化を分析した.その結果,作業記憶機能が経年で低下するドライバは,減少する資源容量でも運転できるように状況をコントロールしている可能性があることがわかった. ・高齢ドライバの運転傾向を把握するモデル構築のため,交通事故を引き起こしえる運転データを用いることで,より安全性を担保する逆強化学習モデルを開発した.また,運転者の顔向き推定と眼球位置推定の結果を統合することにより視線方向を抽出する方法構築した. ・支援情報の信頼度がドライバの心理・生理に与える影響を明確化するため,状況に適した情報と不適な情報を提示した際の情報処理特性を脳波計測と主観評価を用いて検討した結果,信頼できる情報に注意資源をより配分する可能性が示唆された. ・高齢ドライバの運転に対する誤認識を検討するため,70歳以上のドライバとその身内へのインタビューを行い,高齢者の運転に関する認識の違いについて質的な検討を行った.また,高齢ドライバの安全運転に必要な要因を明らかにするため,高齢ドライバを対象としたweb調査,高齢者ドライバの身近にいる方を対象にweb調査を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,研究者全員でキックオフミーティングを行い,研究目標の共有並びに議論を行い,本研究の目的を達成するため,先行研究の調査を実施し,以下の4つのテーマを設定した.その結果,本年度は当初の計画通り実施することが可能となり,次年度の研究課題の抽出,そのための実験機器,調査システム構築等,充分な用意ができたといえる. テーマ1.無信号交差点における高齢運転者の不安全な運転特性・行動の構造化 テーマ2.安全/不安全な運転行動の設定と運転行動文脈の自動抽出法 テーマ3.ヒューマンエラー防止のための支援方策 テーマ4.ヒューマンエラー防止のための教育方法
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降の研究を推進するための課題をテーマごとに整理する. ・テーマ1:高齢ドライバの作業記憶低下に関連する知覚機能の変化を分析し,機能と行動の関係性をモデル化し,行動改善方策を検討する. ・テーマ2:高齢者等のドライバの運転傾向を把握するためのモデルとして,本年度着手した逆強化学習モデルの安定性が乏しい連続状態系に向け,提案モデルの汎用性の追求を検討する.また,ステレオカメラを用いて自車の前方映像上の交通参加者,標識等の対象までの距離,速度を自動抽出,追従する画像処理システムを構築する. ・テーマ3:運転タスクや提示情報の種類がドライバの心理・生理・行動に与える影響を明らかにすることを目指し,様々な走行シナリオと文字・絵・音声情報を対象に同様な検討を行う.また,支援方策の開発・評価を目指し,支援要件を設定した上でその方策をシミュレータ内に実装するとともに,参加者実験を通して実装した方策の効果および有用性について評価する. ・テーマ4:本年度のweb調査結果の分析を進め,安全運転のための教育手法の検討を進める.さらに,安全運転のための研修をインストラクショナルデザインの理論を援用・設計し,形成的評価を行い,それらの効果を検証する.
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