研究課題/領域番号 |
23H00215
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分25:社会システム工学、安全工学、防災工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
岡安 章夫 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (20213994)
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研究分担者 |
多々納 裕一 京都大学, 防災研究所, 教授 (20207038)
北野 利一 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00284307)
河野 達仁 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (00344713)
安田 誠宏 関西大学, 環境都市工学部, 教授 (60378916)
福谷 陽 関東学院大学, 理工学部, 准教授 (10785322)
有川 太郎 中央大学, 理工学部, 教授 (00344317)
山中 亮一 徳島大学, 環境防災研究センター, 准教授 (50361879)
平野 勝也 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (00271883)
尾野 薫 宮崎大学, 地域資源創成学部, 講師 (00782210)
高木 朗義 岐阜大学, 社会システム経営学環, 教授 (30322134)
藤見 俊夫 京都大学, 防災研究所, 准教授 (40423024)
吉田 護 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 准教授 (60539550)
瀬木 俊輔 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (50762382)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
46,280千円 (直接経費: 35,600千円、間接経費: 10,680千円)
2024年度: 10,920千円 (直接経費: 8,400千円、間接経費: 2,520千円)
2023年度: 13,520千円 (直接経費: 10,400千円、間接経費: 3,120千円)
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キーワード | 減災まちづくり / 高潮災害 / 気候変動 / 減災政策評価 / リアルオプション / 沿岸災害 / 高潮 / 社会適応戦略 |
研究開始時の研究の概要 |
大規模複合水災害も想定される中,土地利用規制などを含めた総合的減災まちづくりのあり方が議論されているが,社会構造や気候の変動も考慮した最適解を見出すことは難しい.本研究では,高潮災害を対象に,対策による人口移動などの効果を取り込んだ総合的減災まちづくりの設計手法を提案する.高潮については,アンサンブル手法によるハザード遭遇確率分布推定と,施設整備に応じた浸水解析手法を確立する.被災リスクで変化する立地を内生的に考慮した防災施設評価手法に土地利用規制効果を取り込み,都市減災政策評価モデルを開発する.気候変動については,リアルオプションの考え方を取り入れ,柔軟性のある施策の実装手法を提案する.
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研究実績の概要 |
令和5年度においては,本研究の中心となる4つの項目で,それぞれ以下のような検討を行った. (1)ハザード確率予測:高潮の確率予測において,台風の属性値(位置,気圧,移動速度など)を様々変化させ,モンテカルロ・シミュレーションにより台風を発生・移動させる確率台風モデルを用いた.統計的不安定を避けるために,大量の台風経路データを作成し,併せて偶発的不確実性の評価を行った.また,気候変動の効果を考慮するため海面水温+2℃,4℃のアンサンブル気候実験結果も参考にした. (2)リスク評価:確率台風モデルに対して高潮のアンサンブル浸水シミュレーションを行い,被害傾向の変化について検討を行った.一部の地域において,高潮浸水予測を行い,被害額について検討した. (3)減災まちづくり:防護施設整備の地域経済への影響を把握するため,産業立地や住宅立地への浸水リスクの影響を検討した.これら要因の適切な把握が可能な「差分の差分法」を用いてリスク変化の立地への影響の把握を試みた. (4)総合的施策評価:現行の海岸保全施設の整備計画や設計では,ハザード外力の確率分布を時間的変化のない定常過程とみなしている.しかし,気候変動の影響を強く受ける海面上昇と高潮・高波は年々変動しながら変化していく.時間経過により海面上昇変化が観察されれば,不確実性が減少し,平均値も変化する.このように気候変動の影響が明らかになるとともに適応的整備を行うような計画手法は,リアルオプションに基づく計画として知られており,総合的施策としてリアルオプションをどのように取り入れるかについて検討を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者,およびそれぞれの研究分担者が,研究計画に沿って適切に研究を進展させた.多くの研究分担者が関わる総合的な研究題目であるが,研究調整については,年度内に2回の研究集会を行い,進捗・成果報告および情報交換を含めた課題の検討と調整,計画の修正等を行っている.また更なる課題の洗い出しのため,現地の視察も行った. それぞれの研究成果については,後述のリストにある通りである.
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度においては,令和5年度に引き続き,本研究の中心となる4つの項目で,それぞれ以下のような検討を行う. (1)ハザード確率予測:確率台風モデルを利用した高潮の確率予測を継続する.また,気候変動の影響による海面上昇量について,複数の気候変動(経済活動)シナリオによる上昇量を仮定し,ハザード予測を行う.また,高潮による浸水予測の確率的不確定性について検討し,それらを減少させる手法についても検討する. (2)リスク評価:確率台風モデルに対して高潮のアンサンブル浸水シミュレーションを行う.期待被災額の算定には国土数値情報の土地利用・人口データなども活用する.リアルオプションの考え方を取り入れることにより浸水域や期待被災額がどのように変化していくのかについて検討を行う.シナリオごとの変化や,最適選択について,コストも含めた比較検討を行う. (3)減災まちづくり:防護施設整備の地域経済への影響を把握するためには,産業立地や住宅立地への浸水リスクの影響を捉える必要がある.産業や住宅の立地に及ぼす災害情報の影響について,「差分の差分法」を用いて把握する.また,被害予測の確率的表現とその情報の伝達手法が,住民や産業の立地動向に及ぼす影響について,調査・検討を行う. (4)総合的施策評価:気候変動の影響を強く受ける高潮について,防護レベルの設定にリアルオプションをどのように取り入れていくのか,昨年度に引き続き,より具体的な手法を検討,実際のタイムスパンを考慮しながらどのように施策に取り入れていけるのかについて検討する.
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