研究課題/領域番号 |
23H00273
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分30:応用物理工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
井手口 拓郎 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (30735999)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
47,190千円 (直接経費: 36,300千円、間接経費: 10,890千円)
2024年度: 15,080千円 (直接経費: 11,600千円、間接経費: 3,480千円)
2023年度: 17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
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キーワード | 振動分光顕微鏡 |
研究開始時の研究の概要 |
生きた細胞の高速イメージングは、未踏の生物学・医学・薬学研究のフロンティアを切り開く可能性を持つ。近年、情報量が多く定量性のある3次元イメージングの重要性が高まっており、非染色顕微鏡の開発が将来技術として待望されている。しかしながら、現存する手法で取得できるのは細胞の3次元形状の情報にとどまり、分子情報を得ることはできない。本研究では、非染色で生体分子の情報を得ることのできるビデオレート3次元顕微鏡を世界で初めて実証し、将来の細胞生物学研究の基盤技術を創成する。
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研究実績の概要 |
生きた細胞の高速イメージングは、時空間ダイナミクスの解析、ハイスループット判別、大規模統計解析のためのデータ収集などに必須の技術であり、未踏の生物学・医学・薬学研究のフロンティアを切り開く可能性を持つ。近年、情報量が多く定量性のある3次元イメージングの重要性が高まっており、蛍光プローブを用いない非染色顕微鏡の開発が将来技術として待望されている。しかしながら、現存する手法で取得できるのは細胞の3次元形状の情報にとどまり、蛍光イメージングのような分子情報を得ることはできない。本研究では、非染色で生体分子の情報を得ることのできるビデオレートの3次元顕微鏡を世界で初めて実証し、将来の細胞生物学研究の基盤技術を創成することを目的とする。 本年度は多角度照明による開口合成を用いた赤外フォトサーマル定量位相顕微鏡を構築した。大きな開口数を持つ対物レンズを用いた反射型光回折トモグラフィを実装し、また、パルス幅が1ns程度の中赤外ナノ秒レーザーを開発することで、120nmの空間分解能を持つ中赤外フォトサーマル顕微計測を実証し、学術論文として発表した。また、開発した光回折トモグラフィ顕微鏡を用いて、マイクロビーズの3次元の屈折率画像の取得が可能であることを確認した。 ビデオレート計測の実現に向け、高速動作する空間光変調器を用いた高速切り替え多角度照明機構の開発に着手した。また、分子指紋領域での高感度中赤外フォトサーマル顕微鏡の実現に向け、AGS結晶を用いたナノ秒中赤外バルスレーザーの開発を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究項目1のビデオレート光回折トモグラフィの開発においては、基盤となる光回折トモグラフィを構築し、高速切り替え多角度照明機構の構築に着手しており、予定通りに進展している。 研究項目2のビデオレート3次元中赤外フォトサーマル顕微鏡の開発においては、予定通りに1nsのパルス幅を持つ中赤外ナノ秒パルスレーザーを完成させた。 研究項目3の分子指紋領域の中赤外ナノ秒パルスレーザーの開発においては、AGS結晶を用いた光パラメトリック発振器の肺初を行い、所望の波長領域での中赤外パルスレーザー光を発信させることに成功しており、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
【研究項目1:ビデオレート光回折トモグラフィの開発】 これまでに開発した光回折トモグラフィの実験系を用いて、細胞の高解像度3次元屈折率画像の計測を行う。次に、高速切替多角度照明の光学系を導入し、ビデオレートでの3次元屈折率画像計測の原理実証を行う。 【研究項目2:ビデオレート3次元中赤外フォトサーマル顕微鏡の開発】 これまでに開発した1 nsのパルス幅を持つ中赤外ナノ秒レーザーを光回折トモグラフィの系に導入し、マイクロビーズ、および細胞の3次元中赤外フォトサーマル画像取得の原理検証を行う。 【研究項目3:分子指紋領域の中赤外ナノ秒パルスレーザーの開発】 これまでに開発した分子指紋領域の波長領域で動作するナノ秒中赤外パルスレーザーを長期間安定動作させる開発を行い、分子指紋領域での中赤外フォトサーマルスペクトル画像取得の原理検証を行う。
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