研究課題/領域番号 |
23H00275
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分30:応用物理工学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森 勇介 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (90252618)
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研究分担者 |
今西 正幸 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (00795487)
宇佐美 茂佳 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (30897947)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
47,450千円 (直接経費: 36,500千円、間接経費: 10,950千円)
2024年度: 16,380千円 (直接経費: 12,600千円、間接経費: 3,780千円)
2023年度: 19,890千円 (直接経費: 15,300千円、間接経費: 4,590千円)
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キーワード | GaNバルク成長 / 高速成長 / OVPE法 / 口径制御 / GaN / インゴット / 気相成長 / 口径維持・拡大 |
研究開始時の研究の概要 |
次世代パワー半導体材料として注目されるGaNはSiやSiCのように安価な自立ウェハが存在しないため普及に至っていない。これは、低価格な自立ウェハを作製するためには大面積かつ同口径の自立ウェハを複数枚取得可能な柱状結晶(インゴット)の作製が必要であるのに対し、従来育成法ではGaN結晶が六角錘状に成長して当該インゴットの作製を妨げることに起因する。申請研究では、酸化ガリウムを原料とする気相成長法(OVPE法)における3次元成長モードとウェハ端面の無極性面成長を利用することで世界初となる高品質・超厚膜GaNインゴットを実証する。
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研究実績の概要 |
本研究では酸化物気相成長法による口径拡大と超高速成長技術を確立し,それらを組み合わせることでGaNインゴットの作製を目的としている.本年度は,口径拡大技術として減圧成長とステージ雑晶抑制の2つに取り組んだ.多結晶と無極性面成長はトレードオフの関係だが,そこに成長圧力の軸を加えることでトレードオフ打破を目指した.減圧下では気相反応は抑制され,熱的に安定な無極性面が表出することが期待されたが,0.1atmまでの減圧育成を行っても口径は縮小し,圧力を下げるほど多結晶は増加傾向となった.成長圧力の減少はGaNの分解および原料部からのGa蒸気増加を招き気相反応以外の多結晶が発生することが明らかとなった.また,ステージ雑晶抑制については金属ステージの利用で成長レートを維持しつつステージ雑晶の完全抑制に成功した.これにより雑晶による阻害を受けず口径拡大を安定して行える環境が整った. 次に,高速成長技術については,超高速成長に向けた原料部の改良と高速成長時の結晶性悪化要因の解明を行った.超高速成長を実行するためには従来の約5倍程度のGa2O供給量が必要となるが,現行のリアクターでは所望のGa2Oを供給することはできない.そこで,反応管および原料ボートの設計を抜本的に見直すことでGa2O生成効率を飛躍的に高め,Ga2O供給量は従来の3倍に到達した.不足分は原料部の温度,ガス,酸化剤の変更によって達成できる見込みである.また,高Ga2O供給量下での結晶性悪化の原因が不明であったが, 酸素濃度のNH3および水素分圧依存性の結果から組成レベルで取り込まれる過剰な酸素が原因であると特定された.酸素は主に原料のGa2Oから取り込まれるため,OVPE法による超高速成長を実現させるためには,いかに早くGa2Oの酸素を分解できるかが鍵となる.上記に加えて厚膜成長可能なリアクターの立ち上げも完了している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
減圧成長では口径拡大と多結晶抑制を両立できないことがわかったが,ステージ上の雑晶を完全抑制することに成功した.加えて,超高速・厚膜成長を行う成長炉の立ち上げが当初の想定よりも早く完了した.ゆえに,研究開発全体としては概ね順調に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
R6年度は,まず口径拡大技術として複数の条件を組み合わせる多段階成長によって口径維持と多結晶抑制の両立が可能か調査を進める.超高速成長技術に関しては,高Ga2O供給量の条件下でどこまで成長レートを高められるか調査する,結晶性の悪化が見られた場合は酸素濃度を低減するため,成長温度と水素分圧およびフローバランスをシミュレーションを駆使して追求し,高品質かつ1mm/hを超える成長レートを目指す.また厚膜成長用のリアクターにて長時間成長を行い,超厚膜化が可能となるか検証する.
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