研究課題/領域番号 |
23H00309
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分36:無機材料化学、エネルギー関連化学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
今堀 博 京都大学, 工学研究科, 教授 (90243261)
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研究分担者 |
小堀 康博 神戸大学, 分子フォトサイエンス研究センター, 教授 (00282038)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
46,540千円 (直接経費: 35,800千円、間接経費: 10,740千円)
2024年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
2023年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
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キーワード | 機太陽電池 / バルクヘテロ接合 / 非フラーレンアクセプター / 電圧損失 / 励起状態 / 有機太陽電池 |
研究開始時の研究の概要 |
有機太陽電池(OPV)のエネルギー変換効率(PCE)を向上させるためには、OPV特有の問題である大きな電圧損失を防ぐことが重要である。 そこで本研究では、その中でも代表的なドナー(D)/アクセプター(A)混合層からなるバルクヘテロ接合OPVの電圧損失の抑制に有機合成化学的な見地から取り組む。独自性の高い分子設計戦略を通して、バルクヘテロ接合OPVの高効率化につながる新材料の基礎学理を構築することを目的とする。
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研究実績の概要 |
地球温暖化抑制のための二酸化炭素排出削減に繋がる科学技術として、クリーンで事実上無尽蔵な太陽光の有効利用に関心があつまっている。特に太陽光発電は、二酸化炭素を排出することなく太陽エネルギーを直接電気エネルギーに変換できることから重要性が増している。現在の太陽光発電の主流は単結晶・多結晶シリコンを用いた無機太陽電池である。しかしながら、原料となる高純度シリコンの安定供給や製造コストを考えると、より安価に製造できる太陽電池の出現が期待される。その候補のひとつが有機太陽電池(OPV)である。有機太陽電池(OPV)のエネルギー変換効率を向上させるためには、OPV特有の問題である大きな電圧損失を防ぐことが重要である。本研究では、その中でも代表的なドナー(D)/アクセプター(A)混合層からなるバルクヘテロ接合OPVの電圧損失の抑制に分子設計的な見地から取り組む。非フラーレンアクセプター(NFA)はA-D-A構造を有することで、アクセプター分子のみでの光電荷分離を容易にしている。このD、A部位に最適な分子構造を探索する。 i) 非フラーレンアクセプター(NFA)分子の会合状態(固体膜中)での励起状態長寿命化・発光量子収率向上を通して、光電荷分離過程のD/A界面での振動が関与した無輻射電荷再結合、及び電荷移動によるエネルギーオフセット電圧損失を最小限にすることを試みる。 ii) NFAに複数のハロゲン原子、ヘテロ原子を導入することで、NFA分子同士の分子間相互作用を制御し、3次元の電子輸送ネットワークを形成することで電荷再結合による電圧損失を防ぐことを目指す。 以上の分子設計戦略を通して、バルクヘテロ接合OPVの高効率化につながる新材料の基礎学理を構築する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非フラーレンアクセプター(NFA)のA-D-A構造において、会合状態(膜中)での励起状態長寿命化、あるいは蛍光発光収率増大が期待できるD部位を探索している。実際にA-D-A構造に組み込んだNFAの合成に目処がついている。また、我々が既に開発したTACICを含むNFAに複数のハロゲン原子を導入したり、NFAのカルコゲン原子を置換することに成功している。
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今後の研究の推進方策 |
i) 非フラーレンアクセプター(NFA)のA-D-A構造において、会合状態(膜中)での励起状態長寿命化、あるいは蛍光発光収率増大が期待できるD部位をさらに探索する。実際にA-D-A構造に組み込んだNFAを合成し、光電荷分離過程のD/A界面での振動関与の無輻射電荷再結合、及び電荷移動によるエネルギーオフセット電圧損失を最小限にすることが可能か検討する。 ii) 我々が既に開発したTACICを含むNFAに複数のハロゲン原子を導入したり、NFAのカルコゲン原子を置換することで、NFA分子同士の分子間相互作用を制御し、結果として電子輸送に望ましい3次元ネットワークを強化することで電荷再結合による電圧損失を防ぐことを目指す。 iii) さらに同様の手法がドナー分子側にも適用可能か検討する。
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