研究課題/領域番号 |
23H00313
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分36:無機材料化学、エネルギー関連化学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
山内 美穂 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (10372749)
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研究分担者 |
石元 孝佳 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (50543435)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
47,060千円 (直接経費: 36,200千円、間接経費: 10,860千円)
2024年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
2023年度: 14,820千円 (直接経費: 11,400千円、間接経費: 3,420千円)
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キーワード | Ruナノ粒子 / その場測定 / 水素 / 同位体効果 / アンモニア合成 / ルテニウム触媒 / 変調励起分光法 / 相境界 / 水素化 / フィッシャートロプシュ合成 / 二酸化炭素還元 |
研究開始時の研究の概要 |
これまでの研究をもとに、N2およびCOと適度な相互作用を示すRuを基盤とするナノ合金を複合酸化物に担持して触媒を作製する。同型構造をとるRuとCoは、比較的合金になりやすい金属の組み合わせであると考えられる。元素分布や構造をTEM測定やXRD測定により合金構造の形成を確認し、ナノ合金触媒の触媒活性を調べる。反応が進まない場合は速やかに他の合金系の開拓を開始する。
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研究実績の概要 |
持続可能な材料製造の実現には、再生可能な資源とエネルギーを用いて有用物質を高効率に変換するための触媒技術の開拓が不可欠である。現在、反応分子の活性化についての学理は構築されつつあるが、目的物質を高選択的に合成する明確な設計指針はいまだ存在しない。本研究では、燃料や化製品の製造に有用な水素化反応の触媒に注目し、触媒および担体の電子状態設計による反応分子の活性化に加え、相境界近傍における吸着分子のダイナミクスを制御することにより、反応中間体を高選択的に分離・輸送し、目的物質を効率的に合成するための触媒設計指針を獲得する。 本年度は、化学物質の原料や水素キャリアとなるアンモニアの合成触媒として用いられるRu/MgO表面でのアンモニア合成反応のメカニズムの解明を行った。これまでの研究では、速度論的な検討によりアンモニア合成の反応機構が調べられてきたが、実際の反応条件での触媒表面の分光観測は行われていない。そこで、本研究では、アンモニア合成反応が進行する条件で測定可能なIRシステムの構築とそれを使ったRu/MgO界面のその場測定を行った。 まず、拡散反射赤外フーリエ変換分光法(DRIFTS)と高感度測定法である変調励起分光法(MES)を組み合わせたMES-IRシステムを構築した。MES法をアンモニア合成反応に適応するのは本研究が世界で初めてである。さらに、Ru/MgO触媒に、 400°C、0.1 MPaで、H2 と N2 を混合した反応ガスを導入した状態でMES_IR測定を実施することより NH3 生成プロセスの直接観測に成功した。この測定により、N2解離が、Ru触媒上のオントップサイトでの N2 の垂直吸着状態 から、ブリッジサイトでの水平吸着状態への遷移を経て進行することが明確に示されるとともに、この吸着状態の円滑な変遷が低温での反応の進行において重要であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
実際の合成条件における触媒表面の観察に成功し、反応メカニズムの解明に成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
Ru/MgO上での反応過程の観測に成功した。さらにアンモニア合成反応の効率を向上させるために、触媒の合金化や担体の修飾をおこなう。作製した触媒の活性を詳細に調べるともに、その場測定を行い触媒機構を解明する。得られた結果について量子化学計算を行い、反応活性を制御する因子の解明を行う。
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