研究課題/領域番号 |
23H00314
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分36:無機材料化学、エネルギー関連化学およびその関連分野
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
伊田 進太郎 熊本大学, 産業ナノマテリアル研究所, 教授 (70404324)
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研究分担者 |
畠山 一翔 熊本大学, 産業ナノマテリアル研究所, 助教 (30773965)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
47,710千円 (直接経費: 36,700千円、間接経費: 11,010千円)
2024年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2023年度: 24,180千円 (直接経費: 18,600千円、間接経費: 5,580千円)
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キーワード | 燃料電池 / ナノシート / プロトン伝導 / 酸化物 / 水酸化物 / ナノシート自立膜 / 水素 / 酸化物ナノシート / 自立膜 |
研究開始時の研究の概要 |
燃料電池は,エンジンと異なりカルノーサイクルの制約を受けないため,発電効率が高くCO2を排出しない電力源である。電解質の種類に応じて固体酸化物形燃料電池(SOFC)(動作温度:800~1000℃)、固体高分子形燃料電池(PEFC)(室温~80℃)などがあり、それぞれの長所に応じて研究が進展してきた。しかしながら、室温~200℃で動作する小型化可能な電解質の開発は、PEFCとSOFC両者とも、従来材料の延長では解決は難しいと考えられており、電解質材料を大きく変えるなどの抜本的な開発が求められている。本研究ではこれらの課題に対して、酸化物ナノシートを電解質に用いた新しい燃料電池の開発を行う。
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研究実績の概要 |
燃料電池は,エンジンと異なりカルノーサイクルの制約を受けないため,発電効率が高くCO2を排出しない電力源である。電解質の種類に応じて固体酸化物形燃料電池(SOFC)(動作温度:800~1000℃)、固体高分子形燃料電池(PEFC)(室温~80℃)などがあり、それぞれの長所に応じて研究が進展してきた。しかしながら、室温~200℃で動作する小型化可能な電解質の開発は、PEFCとSOFC両者とも、従来材料の延長では解決は難しいと考えられており、電解質材料を大きく変えるなどの抜本的な開発が求められている。本年度はこれらの課題に対して、無機ナノシートを電解質に用いた新しい燃料電池を開発するための基盤技術の構築を典型的な酸化物ナノシートを用いて取り組んだ。具体的には、カリウムカルシウムニオブからなる層状酸化物であるKCa2Nb3O10を作製した後、硝酸による酸処理により、層状体層間のカリウムをプロトンに交換した。その後、テトラブチルアンモニウムヒドロキシル水溶液を用いて、層状構造を剥離しCa2Nb3O10ナノシートを得た。その他にもペロブスカイト層数を制御した酸化物ナノシートや有機無機複合ナノシートを合成した。遠心分離法を用いて得られたナノシート分散溶液を精製して、ほぼ単層のナノシートが分散する分散溶液を作製した。この分散溶液から吸引濾過法を用いて、ナノシート自立膜を得た。プロトン伝導度を室温~100℃の範囲で測定したところ、最大で0.0001S/cm2の伝導度を示した。作製したナノシートプロトン伝導膜を用いて水素燃料電池を作製したところ、起電力として約1Vであり、作製したナノシートプロトン伝導膜が燃料電池の電解質として機能することを明らかにした。来年度以降は、開発したナノシート膜作製技術と発電技術を基盤として、高出力のナノシート積層型燃料電池の開発に取り組む。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りナノシートプロトン伝導体の開発基盤と燃料電池発電技術の基盤が構築できたため。
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今後の研究の推進方策 |
Ruddlesden-Popper相を持つ層状体やDion-Jacobson相を持つ層状体から単層のナノシートを合成するプロセスと、ナノシート自立膜を作製するプロセスを開発するとともに、開発したナノシート自立膜を燃料電池の電解質に適用して更なる高出力化に取り組む。また、プロトン伝導メカニズムの解明にも取り組む計画である。
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