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魚類におけるウイルス持続感染成立条件の解明とその制御法

研究課題

研究課題/領域番号 23H00343
研究種目

基盤研究(A)

配分区分補助金
応募区分一般
審査区分 中区分40:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
研究機関東京海洋大学

研究代表者

佐野 元彦  東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (00372053)

研究分担者 近藤 秀裕  東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (20314635)
加藤 豪司  東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (50624219)
松本 萌  東京海洋大学, 学術研究院, 助教 (70866441)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2028-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
47,060千円 (直接経費: 36,200千円、間接経費: 10,860千円)
2025年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
2024年度: 11,050千円 (直接経費: 8,500千円、間接経費: 2,550千円)
2023年度: 15,210千円 (直接経費: 11,700千円、間接経費: 3,510千円)
キーワード持続感染 / 魚類ウイルス / 免疫応答 / DNAワクチン / 持続感染制御
研究開始時の研究の概要

魚類ウイルス病において持続感染した感染耐過魚は新たな感染源となるため、その制御が必要である。そこで、強毒化が問題となっているサケ科魚類の伝染性造血器壊死症(IHN)をモデルとし、①ウイルスの持続感染がどのように起こるのか、その成立条件は何か、②持続感染状態がどのようにウイルス変異・強毒化をもたらすのか、③免疫機能のどのような因子の活性化が持続感染の発生抑制に有効か、④持続感染の発生抑制効果があるワクチンはどのようなものか、を明らかにする。以上から、持続感染を制御する新たなワクチンプログラムの活用により魚類養殖におけるウイルス感染環を総合的に制御する、新たな魚病対策を提起する。

研究実績の概要

本研究は、強毒化が問題となっているサケ科魚類の伝染性造血器壊死症(IHN)をモデルとし、「課題①ウイルスの持続感染成立条件の解明」、「課題②持続感染でのウイルス変異」、「課題③持続感染の発生抑制に関連する免疫因子の解明」を行うとともに、「課題④DNAワクチン利用による持続感染の抑制」を開発することを目的とする。
2023年度には、課題①では、成熟前と産卵期におけるニジマス親魚の各臓器からウイルス検出を行い、体腔に排卵した個体では体腔液に加えて脾臓などの臓器で分離されるが、腎臓からは分離できないことが明らかとなり、また、産卵直前では卵巣からのみウイルスが検出された。性成熟しない3nニジマス成魚を感染源とした排水感染試験において、未感染稚魚へ伝播することが明らかとなり、3n個体でも持続感染が起こることが判明した。課題②では、2分離株を供試してRTG-2細胞で20回の連続継代培養を行い、GおよびNタンパク質遺伝子の変異を調べたところ、変異は認められなかった。課題③では、体腔液由来や死亡稚魚由来のウイルスなど毒力の異なる分離株を用いたニジマス稚魚での感染実験を行い、死亡率80%の死亡魚由来YN1311株と死亡率35%の親魚体腔液由来N9F株の感染19日および27日後に取り上げた個体5尾の体腎を用い、網羅的な発現解析を行った。死亡率の低かったN9Fでは、抗体上昇がなく、インターフェロン関係の遺伝子の上昇が続いていたことが判明した。このことから、自然免疫系が働いて魚体内増殖を完全ではないもののある程度押さえ込めると、抗体産生に移行せず、持続感染が成立すると考えられた。課題④では、強毒YN1311株と弱毒SO1304株のN、P、M、G、NVタンパク質遺伝子のDNAワクチンを構築した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

全体に計画通り進行している。
課題①では、親魚では排卵直前に卵巣に再感染することが判明した。さらに検体数を増やし、再感染部位の確証を得るとともに、なぜ卵巣でのみ増殖できるのか、なぜ造血器での感染が起こらないのか、獲得免疫との関連などとの検討を進める。
課題②では、培養細胞レベルではウイルス変異は起きにくいことが判明した。免疫からのウイルス逃避が変異を助長すると推察され、既知ウイルス株を感染させた個体の長期飼育により、免疫の状況とウイルス変異との関係の検討を進める。
課題③では、持続感染の成立とインターフェロンなどの非特異的な防御反応の関係が示唆された。持続感染の成立に関する重要な要因と考えられ、さらに、ウイルスの魚体内増殖と免疫系発現状況との関係について検証を進める。
課題④では、計画通りに強毒株と弱毒株由来のDNAワクチンが準備できた。今後、これらを用いて、強毒株と弱毒株の各タンパク質の対する免疫応答について詳細に検討を進める。

今後の研究の推進方策

今年度計画に沿って実施し、大きな問題はなかった。さらに来年度も計画通り実施していく。
課題①では、前年度に引き続き、長野県水産試験場の協力を得つつ、産卵親魚の再感染部位を特定する。課題②では、前年度に引き続き、静岡県水産・海洋技術研究所富士養鱒場の協力を得つつ、既知ウイルス感染魚での経時的ウイルス変異を調査するとともに、新たに培養細胞でのウイルス同時感染によるハイブリッドウイルス産生について調べる。課題③では、供試ウイルス株に弱毒の分離株を新たに加え、その死亡率の異なる感染耐過稚魚群で持続感染の有無を調べるとともに、異なる持続感染状況の群における免疫関連遺伝子の網羅的発現解析を再度行い、昨年度の結果との比較・検証を行う。課題④では、構築したDNAワクチンを用い、宿主免疫応答を調べる。さらに、今までに得られた成果の発表を進める。

報告書

(2件)
  • 2023 審査結果の所見   実績報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)

  • [学会発表] Dynamics of Infectious Hematopoietic Necrosis Virus (IHNV) in Rainbow Trout Oncorhynchus mykiss during Maturation2023

    • 著者名/発表者名
      R. Shimizu, A. Nonaka, G. Tuboi, S. Hirabe, F. Shirotori, T. Takeuchi, K. Takehana, M. Shigekura, M. Kawanobe, S. Ogawa, E. Nakamura, T. Takikawa, H. Matsuyama, G. Kato, and M. Sano
    • 学会等名
      Asian Fisheries Society, Fish Health Section Conference: From the Pillars to the Next
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Estimation of infectious hematopoietic necrosis (IHN) virus dynamics by molecular epidemiology2023

    • 著者名/発表者名
      M. Sano, A. Nonakaa, G. Tuboia, S. Hirabea, R. Shimizua, F. Shirotorib, T. Takeuchib, K. Takehanab, M. Shigekurab, M. Kawanobeb, S. Ogawab, E. Nakamurac, T. Takikawac, H. Matsuyamac, and G. Kato
    • 学会等名
      Asian Fisheries Society, Fish Health Section Conference: From the Pillars to the Next
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 分子疫学による伝染性造血器壊死症(IHN)ウイルス動態の推定2023

    • 著者名/発表者名
      野中 碧・坪井豪亮・平部 俊・清水遼太・白鳥史晃・竹内智洋・ 竹花孝太・重倉基希・川之辺素一・小川滋・ 中村永介・瀧川智人・松山創・ 加藤豪司・佐野元彦
    • 学会等名
      令和5年度日本魚病学会秋季大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] ニジマス親魚の成熟過程における伝染性造血器壊死症ウイルス(IHNV)の動態2023

    • 著者名/発表者名
      清水遼太・野中 碧・坪井豪亮・平部 俊・白鳥史晃・竹内智洋・ 竹花孝太・重倉基希・川之辺素一・小川 滋・ 中村永介・瀧川智人・松山 創・ 加藤豪司・佐野元彦
    • 学会等名
      令和5年度日本魚病学会秋季大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2025-04-17  

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