研究課題/領域番号 |
23H00354
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分42:獣医学、畜産学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
北澤 春樹 東北大学, 農学研究科, 教授 (10204885)
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研究分担者 |
西山 啓太 東北大学, 農学研究科, 准教授 (40756029)
大坪 和香子 東北大学, 農学研究科, 助教 (00598203)
野地 智法 東北大学, 農学研究科, 教授 (10708001)
竹之内 敬人 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, グループ長 (20292518)
新開 浩樹 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究部門, 上級研究員 (30502687)
須田 義人 宮城大学, 食産業学群, 教授 (90404847)
Binghui Zhou 東北大学, 農学研究科, 助教 (70906031)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
47,320千円 (直接経費: 36,400千円、間接経費: 10,920千円)
2024年度: 9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
2023年度: 17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
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キーワード | ポストイムノバイオティクス / ブタ / パターン認識受容体 / 多型 / ウイルス / 腸-肺軸 |
研究開始時の研究の概要 |
家畜が本来有する自然免疫を担うパターン認識受容体に着目し、抗ウイルス機能亢進型多型と抗ウイルス性イムノバイオティクスの発展的融合により、腸-肺自然免疫軸の高次機能強化から、薬のみに依存しない新たな健全育成技術基盤を創出する。具体的には以下の3つの課題を実施する。 課題1.豚における自然免疫抵抗性を発揮するNod様受容体多型の解明 課題2.Nod様受容体を介する抗ウイルス性イムノバイオティクスの開発 課題3.Nod様受容体多型とイムノバイオティクスによる腸-肺の自然免疫軸から局所・全身性免疫応答の増強機構解明
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研究実績の概要 |
本年度の具体的な研究成果は以下の通りである。 【課題1】豚における自然免疫抵抗性を発揮するNod様受容体多型の解明(農研機構):炎症や感染症と関連する可能性のある6個のブタNLR遺伝子(NLRC3、NLRP4、NLRP6、NLRP9、NLRP11、NLRP12)について、ブタゲノムデータベースからアミノ酸置換を伴う114個のSNPとその周辺塩基配列の情報を抽出した。国内商用豚の種豚であるデュロック種142頭およびランドレース種32頭を対象として、これらのSNPの多様性解析を行い、16個のSNP(NLRC3で1個、NLRP4で4個、NLRP9で1個、NLRP11で3個、NLRP12で7個)で10%以上のマイナーアリル頻度があることを明らかにした。【課題2】豚気管支上皮(PBE)細胞は、TLR3、TLR4およびNod1の高発現と、それらのシグナル伝達経路の活性化という観点から特徴づけられた。Poly(I:C)で刺激したPBE細胞は、抗ウイルス因子やウイルス受容体の発現を増強した。また、炎症性サイトカインの発現が増加し、TLRシグナル伝達経路の負の調節因子の発現を制御した。これらのことから、PBE細胞は、呼吸器抗ウイルス性イムノバイオティクスの選抜・評価に有用と期待された。豚由来乳酸菌ライブラリーより、Nod様受容体発現増強イムノバイオティクス候補を選抜し、上記評価系における解析が進められるようになった。【課題3】Nod様受容体多型とイムノバイオティクスによる腸-肺自然免疫軸から局所・全身性免疫応答の増強機構解明(東北大、農研機構、宮城大):NLR多型とイムノバイオティクスによる腸-肺自然免疫軸の高次機能強化について、フィールド試験実証試験を行うことを目的とし、その条件検討と評価項目について設定し、予備試験により、腸と肺における自然免疫因子の遺伝子発現の解析を進めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新たに樹立した豚気管支上皮(PBE)細胞における自然免疫応答の特徴を明らかにし、TLR3、TLR4およびNod1などのパターン認識受容体の高発現を生かした抗ウイルス性イムノバイオティクスの選抜・評価が可能となった。また、ブタNLR遺伝子の多型の解析と共に、フィールド試験実証試験の条件検討と測定項目の設定についても進めることができ、計画通り順調に推進できている。
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今後の研究の推進方策 |
PBE細胞による抗ウイルス性イムノバイオティクスの選抜・評価を進め、腸管上皮細胞や肺胞および小腸由来マクロファージの組み合わせにより、腸-肺免疫軸を介する抗ウイルス性イムノバイオティクスの評価に発展させたい。さらに、自然免疫受容体の多型と小腸および肺病変出現との関連解析を基礎としながら、フィールド実証研究への展開を目指す。
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