研究課題/領域番号 |
23H00373
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分43:分子レベルから細胞レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
塩田 倫史 熊本大学, 発生医学研究所, 教授 (00374950)
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研究分担者 |
矢吹 悌 熊本大学, 発生医学研究所, 准教授 (70756121)
松尾 和哉 熊本大学, 発生医学研究所, 特別研究員(PD) (10912371)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
46,540千円 (直接経費: 35,800千円、間接経費: 10,740千円)
2024年度: 10,790千円 (直接経費: 8,300千円、間接経費: 2,490千円)
2023年度: 10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
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キーワード | グアニン四重鎖 / RNA相分離 / 神経細胞 / 神経疾患 / RNA高次構造 / 神経機能 / mRNA / ストレス顆粒 |
研究開始時の研究の概要 |
神経細胞における生理機能の維持にはRNA相分離で形成される顆粒を介した活発なRNAホメオスタシスが必要不可欠である。また、RNA顆粒を構成するRNA結合タンパク質の異常は神経機能の低下を引き起こし、神経疾患を発症する。したがって、神経細胞におけるRNA相分離は生理的および病態的に重要な生体分子ダイナミクスである。これまで研究代表者は、グアニン四重鎖「G4RNA」が神経機能を制御するRNA相分離の中核構造であることを明らかにした 。そこで本研究ではG4RNA相分離の分子実体とその神経機能制御メカニズムを生理的および病態的側面において解明し、G4RNAを新たな神経疾患の治療標的として提唱する。
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研究実績の概要 |
DNA・RNA高次構造には多様性がある。DNAの基本的な構造は「B型DNA」と呼ばれている右巻き二重らせんであるが、それ以外にも左巻き(Z型)、三重鎖(H型)、ヘアピン型など「非B型DNA・RNA」が報告されており、配列の特徴や溶媒の環境により多様な構造を形成する。非B型のひとつであるグアニン四重鎖(G4; G-quadruplex)は、グアニンが豊富な一本鎖のDNAやRNAにおいてG4DNAおよびG4RNAを形成する。G4は、物理学的に高い熱安定性やゲノム上の領域特性を有することから生体内での機能に注目が集まっている。例えば、G4DNAはテロメア・有糸分裂および減数分裂の二本鎖切断部位・転写開始部位・複製起点において形成されること、G4RNAはRNAスプライシング・RNA輸送・mRNA翻訳などRNA代謝の多くの段階に関与することが示唆されている。しかしながら、G4の生物学的機能に関するエビデンスは極めて少なく、未解明な点が多い。本年度は、G4RNAの相分離を介した神経変性に着目した。結果として、アルツハイマー病やシヌクレイノパチー等の孤発性神経変性疾患を引き起こすプリオノイドタンパク質であるαシヌクレインやタウがG4RNAによりゾル-ゲル相転移することを発見し、「G4プリオノイド」を提唱した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定していたシヌクレイノパチーだけでなく、タウオパチーにもG4RNAによるゾル-ゲル相転移が関与することを今年度見出すことができ、大きな進展があった。
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今後の研究の推進方策 |
G4RNAによるαシヌクレインのゾル-ゲル相転移に関しては、in vitro, in vivoで実証済みあるが、タウオパチーに関してはin vitroのみの結果である。したがって、in vivoでのG4RNAによるタウのゾル-ゲル相転移の研究を今後推進する。
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