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がん細胞による脂肪細胞-がん関連線維芽細胞転換機構の解明と微小環境制御戦略の構築

研究課題

研究課題/領域番号 23H00410
研究種目

基盤研究(A)

配分区分補助金
応募区分一般
審査区分 中区分50:腫瘍学およびその関連分野
研究機関藤田医科大学

研究代表者

佐谷 秀行  藤田医科大学, 橋渡し研究シーズ探索センター, センター長 (80264282)

研究分担者 植野 さやか  藤田医科大学, 医学部, 講師 (80848937)
信末 博行  藤田医科大学, 腫瘍医学研究センター, 講師 (90525685)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2025年度)
配分額 *注記
47,450千円 (直接経費: 36,500千円、間接経費: 10,950千円)
2025年度: 13,650千円 (直接経費: 10,500千円、間接経費: 3,150千円)
2024年度: 13,650千円 (直接経費: 10,500千円、間接経費: 3,150千円)
2023年度: 20,150千円 (直接経費: 15,500千円、間接経費: 4,650千円)
キーワードがん関連線維芽細胞 / 腫瘍微小環境 / アクチン / MKL1 / がん微小環境 / 腫瘍関連線維芽細胞
研究開始時の研究の概要

近年研究代表者らは、がん細胞が周囲の脂肪細胞に作用し、転写調節因子MKL1の活性化を介して脂肪細胞をがん関連線維芽細胞(CAF)へと転換することを見出した。更にがん細胞から分泌される液性因子が脂肪細胞のMKL1を活性化しCAF転換の引き金を引くことを見出した。本研究は、がん細胞が、脂肪細胞でMKL1を活性化しCAF転換を誘導する分子機構を解明し、そのプロセスを制御するトリガー因子を同定するとともに、それを標的として腫瘍微小環境を制御し、腫瘍の抑制を図る新しい治療戦略を提案することを目的として実施する。

研究実績の概要

卵巣がんや膵臓がんを始めとする多くの悪性腫瘍において、脂肪組織はがんの進展を促進する土壌(ニッチ)としての役割を担っていることが知られている。がん細胞は、脂肪細胞に作用して脱分化を誘導し、それによって放出される脂肪酸をがんの増殖及び転移のエネルギー源として利用するとともに、脱分化した脂肪細胞を腫瘍の生育を支援するがん関連線維芽細胞(CAF)へと分化転換する。しかしながら、がん細胞による脂肪細胞の脱分化とCAFへの転換を促進する分子メカニズムは未解明のままである。これまでに研究代表者らは、悪性度の高い骨肉腫細胞株AXTの培養上清(AXT-CM)を脂肪細胞に添加すると、脱分化さらにはCAF様細胞への分化転換が誘導され、そのプロセスにてアクチン動態によって制御される転写調節因子MKL1が活性化することを見出した。令和5年度では、AXT-CM、悪性度の低い骨肉腫細胞株AO由来の培養上清(AO-CM)あるいはコントロール培地で処理した脂肪細胞のマイクロアレイ解析を実施し、Gene set enrichment analysis (GSEA)により機能解析を行なった。その結果、AXT-CM処理した脂肪細胞(AXT-Ad)では、『脂肪分化』及び『脂肪酸代謝』に関連する遺伝子セットの発現が総じて減少し、脱脂肪化が誘導されていることが示唆された。一方、AXT-AdではCAFの分化に関連する『TGF-β及びTNF-αシグナル経路』に関連する遺伝子セット、さらにはMKL1下流の細胞骨格関連遺伝子の発現が有意に増加した。以上の結果から、悪性骨肉腫細胞により分泌される液性因子が、脂肪細胞でTGF-β及びTNF-αシグナル経路、さらにはMKL1を活性化させ、脱分化さらにはCAF転換を誘導することが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

AXT-Adにてマイクロアレイ解析を実施し、脂肪分化や脂肪酸代謝といった遺伝子セットの発現が減少し、脱脂肪化が起こっていることを示した。また、AXT-AdではTGF-β及びTNF-αシグナル経路、MKL1下流の細胞骨格関連遺伝子といったCAFに関連する遺伝子セットの発現が増加し、脂肪細胞がCAFへと転換することを明らかにした。

今後の研究の推進方策

本年度において、悪性骨肉腫細胞により分泌される液性因子が、脂肪細胞の脱脂肪化を促し、CAFへと分化転換を誘導することを見出し、そのプロセスにおいてTGF-β及びTNF-αシグナル経路、さらにはMKL1を活性化することを明らかにしたので、CRISPR-Cas9 sgRNAライブラリーを用いたスクリーニングを実施し、上記シグナル経路を活性化しCAF転換を誘導するトリガー因子の同定を試みる。さらに、大網及び腸間膜へ転移した卵巣癌の臨床検体を用いて、卵巣癌周囲の脂肪細胞でTGF-β及びTNF-αシグナル経路、さらにはMKL1が活性化し、CAF様細胞へと転換するか否か、その可能性について追求する。

報告書

(2件)
  • 2023 審査結果の所見   実績報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)

  • [雑誌論文] Mesothelial cells with mesenchymal features enhance peritoneal dissemination by forming a protumorigenic microenvironment2024

    • 著者名/発表者名
      Yonemura A、Semba T、Zhang J、Fan Y、Yasuda-Yoshihara N、Wang H、Uchihara T、Yasuda T、Nishimura A、Fu L、Hu X、Wei F、Kitamura F、Akiyama T、Yamashita K、Eto K、Iwagami S、Iwatsuki M、Miyamoto Y、Matsusaki K、Yamasaki J、Nagano O、Saya H、Song S、Tan P、Baba H、Ajani Jaffer A.、Ishimoto T
    • 雑誌名

      Cell Reports

      巻: 43 号: 1 ページ: 113613-113613

    • DOI

      10.1016/j.celrep.2023.113613

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] 5-Aminolevulinic acid increases boronophenylalanine uptake into glioma stem cells and may sensitize malignant glioma to boron neutron capture therapy2023

    • 著者名/発表者名
      Fukumura Masao、Nonoguchi Naosuke、Kawabata Shinji、Hiramatsu Ryo、Futamura Gen、Takeuchi Koji、Kanemitsu Takuya、Takata Takushi、Tanaka Hiroki、Suzuki Minoru、Sampetrean Oltea、Ikeda Naokado、Kuroiwa Toshihiko、Saya Hideyuki、Nakano Ichiro、Wanibuchi Masahiko
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 13 号: 1 ページ: 10173-10173

    • DOI

      10.1038/s41598-023-37296-6

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2025-06-20  

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