研究課題/領域番号 |
23H00420
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分52:内科学一般およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
勝野 雅央 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (50402566)
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研究分担者 |
佐橋 健太郎 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (90710103)
飯田 円 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (40815437)
蛭薙 智紀 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (00927527)
井口 洋平 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (80790659)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
47,320千円 (直接経費: 36,400千円、間接経費: 10,920千円)
2024年度: 15,600千円 (直接経費: 12,000千円、間接経費: 3,600千円)
2023年度: 16,120千円 (直接経費: 12,400千円、間接経費: 3,720千円)
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キーワード | 運動ニューロン疾患 / オリゴデンドロサイト / マルチモーダル解析 / 胎児 / シングルセル解析 / 神経変性疾患 / 球脊髄性筋萎縮症 / 早期病態 / 転写障害 / 運動ニューロン / イオンチャンネル |
研究開始時の研究の概要 |
筋萎縮性側索硬化症や球脊髄性筋萎縮症を始めとする運動ニューロン疾患では、発症前からニューロンやグリアの変化が生じていることが明らかとなっている。本研究では、イメージング・多層オミックスを含むマルチモーダル解析やシングルセルRNAseqの経時的解析により、運動ニューロン疾患の超早期におけるニューロン・オリゴデンドロサイト病態を解明し、進行期に至る病態シークエンスの時間的連続性を明らかにする。また、正常グリア前駆細胞導入や胎児脳ストレス負荷により、超早期の病態への介入が成人期の運動ニューロン変性にどのように制御するのかを明らかにし、マウスモデルと患者由来細胞・組織を用いて検証する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、運動ニューロン疾患における最初期病態が晩発性の運動ニューロン変性病態にどうつながるのかを解明すべく、①マルチモーダル解析によるニューロン・オリゴデンドロサイト連関異常の解明、②時間的シングルセル解析による病態における連続性の解明、③超早期介入による神経変性の抑止の検証、を軸として研究を進めることである。本年度はとくに球脊髄性筋萎縮症(SBMA)マウスモデル(AR-97Q)脊髄のシングルセル解析(snRNA-seq)の結果から、発症前から進行期に至るオリゴデンドロサイト-ニューロンのクロストーク異常に焦点を当てて解析を進めた。発症前、発症前後、初期、進行期という異なる病期のAR-97Qマウスと野生型マウスのスナップ凍結脊髄から核を単離した。snRNA-seq後、Rソフトウェアを用いてデータセットを解析した。snRNA-seqの結果を検証するために、Oli-neuマウスオリゴデンドログリア前駆細胞株を用いた。全ての細胞型の中で、オリゴデンドロサイト(OL)は発症前に最も多くの異なる発現遺伝子を有していた。OLクラスターの解析から、発症前に陽イオンチャネルとシナプス機能が活性化し、AR-97Qマウスでは野生型マウスに比べてOLからニューロンへの出力が増加していることが示唆された。初期段階におけるこれらの変化は、進行すると逆転した。SBMAのOL細胞モデルでは、シナプス組織における転写変化の増加など、初期段階でAR-97Qマウスと同様の表現型を示した。これらの結果は、OLが関与する細胞間情報伝達の調節不全がSBMAの初期病態に大きな影響を及ぼし、SBMAの治療標的となりうることを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
snRNA-seqにより、AR-97Qマウスでは発症前にオリゴデンドロサイトで陽イオンチャネルとシナプス機能が活性化し、オリゴデンドロサイトからニューロンへの出力が増加していることが示されたのみならず、こうした初期変化がむしろ進行すると逆転するという新しい知見を得た。さらにSBMAのオリゴデンドロサイトモデルを作製し、シナプス組織における転写変化の増加など、初期段階でAR-97Qマウスと同様の表現型を検証できた。以上から、当初の予定より順調に推移していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、オリゴデンドロサイトからの入力が増強することでニューロンの過活動が誘発されるか否かを、オリゴデンドロサイト・ニューロンの初代共培養系で検証する。また、筋萎縮性側索硬化症(ALS)については、研究者らはこれまでにマウス大脳皮質ニューロン特異的にTDP-43の発現を抑制するとCNPaseなどのオリゴデンドロサイト系列に発現する分子の発現が低下することを見出している。本研究では、TDP-43発現抑制のタイミングを変えることでこの現象がどのように変化するかを解析する。TDP-43発現を抑制したマウスの行動解析を行うとともに、ニューロン・オリゴデンドロサイトの連関に関わる鍵分子としてこれまでに同定したNrxn1をAAVで海馬に導入した際のミエリン形成に関する病理学的検討と行動解析を行う。
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