研究課題/領域番号 |
23H00425
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分53:器官システム内科学およびその関連分野
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
金井 隆典 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (40245478)
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研究分担者 |
寺谷 俊昭 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任准教授 (40624408)
三上 洋平 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (80528662)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
47,320千円 (直接経費: 36,400千円、間接経費: 10,920千円)
2024年度: 15,600千円 (直接経費: 12,000千円、間接経費: 3,600千円)
2023年度: 16,120千円 (直接経費: 12,400千円、間接経費: 3,720千円)
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キーワード | 腸内細菌 / 潰瘍性大腸炎 / クローン病 / 原発性硬化性胆管炎 / 粘膜免疫 / 炎症性腸疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
腸内細菌は、腸管疾患だけでなく中枢神経系疾患・肝疾患・皮膚疾患など腸管外病変形成においても重要な役割を担う。申請者は独自解析により腸内細菌の「体内への侵入」と「神経回路の変調」が腸内細菌による病態制御の本質であることを世界に向けて発信した。そこで、本研究提案では、消化器免疫疾患特有の腸内細菌叢が宿主免疫と神経系を介して腸管および腸管外疾患形成に及ぼす影響を分子レベルで解析し、新たな「細菌-腸-脳相関」概念を免疫難病や悪性腫瘍の新規治療法開発に繋げる。
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研究実績の概要 |
腸内細菌は、腸管疾患だけでなく中枢神経系疾患・肝疾患・皮膚疾患など腸管外病変形成においても重要な役割を担う。腸内細菌による標的臓器の免疫機構の介入には、いくつかのルートが想定され、大半の研究は細菌関連因子が血流にのることを前提とする一方、申請者は独自解析により腸内細菌の「所属リンパ節への感染」と「神経回路の変調」が腸内細菌による病態制御の本質であることを報告してきた。そこで、本研究提案では、消化器免疫疾患特有の腸内細菌叢が宿主免疫と神経系を介して腸管および腸管外疾患形成に及ぼす影響を分子レベルで解析し、新たな「細菌-腸-脳相関」概念を免疫難病や悪性腫瘍の新規治療法開発に繋げることを目的とする。 本年度は、腸内細菌が消化管や肝臓の神経を刺激する機構を解明するために、消化管(胃・小腸・大腸)および肝臓より異なる色の蛍光標識されたトレーサーを用いて逆行性トレーシング実験を行い、NGにおける神経細胞を消化器支配臓器別に色分けする系の樹立に成功した。また、FACSソーティングや、遺伝子発現解析のために、NGの神経細胞の単離技術の向上が必要であり、コラゲナーゼ、ディスパーゼなどの濃度や反応時間を調整し、神経細胞率の向上の予備検討を実施した。また、体内侵入菌であるKlebsiella pneumoniae (KP)に対するファージ療法の基盤的検討として、ファージを投与したマウスにおけるKPの殺菌能を検討し、ファージ療法の妥当性を検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
逆行性トレーシング実験、迷走神経頸部神経節の神経細胞の単離技術の向上、体内侵入菌であるKlebsiella pneumoniaeに対するファージ療法の基盤的検討、と当初予定していた主目標を達成し、結果の一部を論文報告した(Ichikawa M, Nat Commun 2023)。
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今後の研究の推進方策 |
前年度までの検討により、腸内細菌が消化管や肝臓の神経を刺激する機構を解明するために、消化管(胃・小腸・大腸)および肝臓より異なる色の蛍光標識された化学物質を用いた逆行性トレーシング実験を行い、NGにおける神経細胞を支配臓器別に色分けする系の樹立に成功しており、更なる機能解析のために、引き続きNGの神経細胞の単離技術を向上し、Bulkもしくは1細胞レベルでのNGの遺伝子発現解析を行うことを予定する。また、Klebsiella pneumoniae (KP)を標的としたファージ療法のために、In vitroにおけるファージのKPに対する殺菌能の改良を目指すこと、さらに、マウスにおけるファージの経口および経静脈的投与を行なった際のKPの殺菌能を検討し、ファージ療法基盤データを蓄積する。
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