研究課題/領域番号 |
23H00435
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分56:生体機能および感覚に関する外科学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
赤松 秀輔 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (20767248)
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研究分担者 |
小林 恭 京都大学, 医学研究科, 教授 (00642406)
藤本 明洋 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (30525853)
住吉 崇幸 京都大学, 医学研究科, 助教 (30846100)
村川 泰裕 京都大学, 高等研究院, 教授 (50765469)
北野 滋久 公益財団法人がん研究会, 有明病院 先端医療開発科, 部長 (60402682)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
47,450千円 (直接経費: 36,500千円、間接経費: 10,950千円)
2024年度: 11,830千円 (直接経費: 9,100千円、間接経費: 2,730千円)
2023年度: 20,150千円 (直接経費: 15,500千円、間接経費: 4,650千円)
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キーワード | 前立腺癌 / 分子サブタイプ / ロングリードRNAシーケンス / 単一細胞核シーケンス / 多重免疫染色 / ロングリードシーケンス / シングルセル核シーケンス |
研究開始時の研究の概要 |
前立腺癌は症例ごとに多様ですが、最近では腫瘍組織の遺伝子発現情報を基にいくつかの群に分類できることがわかっています。しかし従来の分類は症例ごとに煩雑な大規模遺伝子発現解析が必要でした。そこで本研究では最新の遺伝子発現解析手法(ロングリードシーケンス、単一細胞シーケンス)を用いて、ヒト前立腺癌検体を細胞単位で精密な遺伝子発現解析を行い、それを基に新たな分類法を提唱することを目指します。そして最終的に網羅的な遺伝子発現解析を行わなくても同様の分類が容易にできて臨床現場で使えるような方法の開発を目指します。
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研究実績の概要 |
現在までに前立腺癌70症例と正常前立腺17症例のNanoporeシーケンサーを用いたロングリードRNAシーケンス解析を実施し、予定していた情報解析パイプラインSPLICEを用いて解析した。ロングリードのトランスクリプトームに基づき階層分析を行ったところ、前立腺癌と正常前立腺はきれいに群分けされた。また、前立腺癌で既知のTMPRSS-ERG融合遺伝子を含む複数の融合遺伝子群を検出できており、シーケンスがうまく行えていることを確認できた。一方で、SPLICEのパイプラインでは融合遺伝子やスプライスバリアントは検出しやすいものの、一部の短い転写産物(モノエクソンの産物)の発現は検出されないことが発覚しパイプラインの修正を行った。また、前立腺癌検体の解析結果の詳細を検討したところ、別の時間に別の場所で検体処理からシーケンス解析まで行った場合、バッチエフェクトが生じ、癌の表現型以上にクラスタリングに影響していることが判明した。現在、バッチエフェクトを補正するための最適な方法を検討中である。この一環として今後、各検体の残余RNAを用いて通常のショートリードRNAシーケンス解析を行いその結果を対照として用いることを検討している。 シングルセルRNAシーケンス解析についてはこれまでに前立腺生検検体から核抽出を行うための条件検討を行い、最適化した。さらに1症例でシングルセル核シーケンス解析を行い、前立腺針生検検体からでも核シーケンス解析ができることを確認した。今後は症例数を増やして検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ロングリードRNAシーケンス解析が当初予定していた情報解析パイプラインで解析するのみでは前述のようにバッチエフェクトなどの影響で上手くいかないことが判明し、その対応が必要となっている。一方でシーケンス解析自体は既に87検体で行っており予定通り順調に進んでいる。また、シングルセルシーケンス解析についても前立腺針生検検体から行えることが確認でき、順調に経過していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
ロングリードシーケンス解析におけるバッチエフェクトの補正については同一検体の残余RNAを用いてショートリードシーケンスを行い、まず、ショートリードシーケンスを基に大まかなクラスタリングの「正解」を得てそのうえでロングリードシーケンス結果のバッチエフェクト補正をどの基準で行うのが最適かを検討する。 シングルセルシーケンス解析については最近、Chromium Flexシステムが登場し、凍結検体からも解析ができるようになったため、これまで準備してきたシングルセル核シーケンス(enhancer seqなども可能)に加えて、凍結検体で予め病理学的な特徴がわかっている検体を用いた解析も行い、Gleason patternの違いを説明できるような遺伝子発現の特徴などについても検討を進めていく予定である。
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